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Aug. 26, 2025

【ワイン with ショートフィルムの時間】ワインwithショートフィルムの時間~vol.8

土地や気候、育て、醸造する人の気持ち。
その味わいの中に感じられる個性的な表情は、ショートフィルムの世界と似ています。
作り手はどんなことを考えていたのか、その年はどんな年だったのか—。
このコラムでは、そんなことを思い浮かべながら、ワインとショートフィルムのペアリングを、ワイン専門店エノテカの広報、佐野昭子さんに紹介いただきます。
ショートフィルムのストーリーと、ワインの香りや味わいが織りなすひと時をお楽しみください。

今年は戦後80年。それに併せてブリリア ショートショートシアター オンラインでは、「戦争が語るもう一つの真実:Another Truth」を特集中です。80年前の戦争、現在進行形で続いている戦争・・・今年は暑すぎる夏となっていますが、戦争についてもいろいろと思う年となりました。それは終戦記念日に、岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』を観たからかもしれません・・・。本特集で紹介されている作品も、戦争そのものをストレートに描くのではなく、戦争の別の側面を意外性や驚き、衝撃を持って浮かび上がらせています。

今月のピックアップ・ショートフィルム:
敵対する勢力に属した2人の兵士を描く、9分にも満たない作品 『戦場の音』

戦争を描くとなると、厳しい現実や悲壮感を予想して身構えてしまいますし、実際、私もそうだったのですが、この作品の展開には驚かされました。描かれるのはあくまでも「希望」です。人間には文化というツールがあり、必ず人と人は和解できる、そんな監督からのメッセージをビシビシ感じます。短い作品でワンテーマとなるので、ネタバレにならないよう紹介するのが難しいのですが、ぜひ監督の強いメッセージを作品でご体感ください。

『戦場の音』にペアリングしたいワインは・・・

ワイン名:ヤラ・ヴァレー ピノ・ノワール
生産者名:ジャイアント・ステップス

https://www.enoteca.co.jp/item/detail/NS02P0020

モダンジャズのサックス奏者ジョン・コルトレーンのアルバム『ジャイアント・ステップス』に由来するピノ・ノワール

Giant Steps Sexton Vineyard

本作品の詳細はネタバレになるので語らないのですが、作品の中で象徴的なのがジャズの調べ。音楽がこれほど人と人を繋ぐのか、と思わず感嘆の想いで観入ってしまいました。そして、人に感嘆をもたらすワインと言えば、やはりピノ・ノワールは外せません。さらに言えば、こちらのピノ・ノワールを手がけるオーストラリアの生産者名はジャイアント・ステップス。その名前は、モダンジャズのサックス奏者ジョン・コルトレーンが1960年にリリースしたアルバム『ジャイアント・ステップス』に由来しています。コルトレーンが自己のスタイルに安住することなく常に前進、新境地を開き続けた生き様が、ワイナリーのビジョンを完璧に表現している、として名付けたそうです。ジャズと極上のピノ・ノワールで人間の可能性を謳歌してみるのはいかがでしょうか・・・??

明るい希望を照らす音楽と心地よいマリアージュを奏でる1本

FionaLynch_GiantStep

ジャイアント・ステップスは、オーストラリア南東部に位置するビクトリア州ヤラ・ヴァレーで素晴らしいピノ・ノワールとシャルドネを手がけるワイナリーです。創設者のフィル・セクストン氏は、冷涼な環境下で単一畑のピノ・ノワールとシャルドネを造るためにヤラ・ヴァレーに移住、1998年にワイナリーを設立しました。ときに“ブルゴーニュの強力なライバル”とも称される、透きとおったピュアな仕上がりのピノ・ノワールは絶品。なめらかなテクスチャーときめ細やかなタンニン、凝縮した果実味が広がります。時代の先を行くことを目指したオーストラリア産のピノ・ノワールは、人類の明るい希望を照らす音楽と心地よいマリアージュを奏でるはずです。

Writer:エノテカ広報・佐野

全国にワインショップを展開するワイン専門店「エノテカ」で広報を担当。映画とワインが大好物。映画やドラマにワインが出てくると、思わずチェックしてしまいます。ワインだけでもおいしく楽しめますし、映画単体でももちろん楽しいですが、2つをつなげてみるとより世界も広がって見えてきます。夜のリラックスタイムは、ぜひワインと映画のマリアージュを楽しんでみてください。

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