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Nov. 20, 2025

【ワイン with ショートフィルムの時間】ワインwithショートフィルムの時間~vol.11

土地や気候、育て、醸造する人の気持ち。
その味わいの中に感じられる個性的な表情は、ショートフィルムの世界と似ています。
作り手はどんなことを考えていたのか、その年はどんな年だったのか—。
このコラムでは、そんなことを思い浮かべながら、ワインとショートフィルムのペアリングを、ワイン専門店エノテカの広報、佐野昭子さんに紹介いただきます。
ショートフィルムのストーリーと、ワインの香りや味わいが織りなすひと時をお楽しみください。

今月のピックアップ・ショートフィルム:レインボーカラーのビビッドな色合いが印象的なコメディ『ハッピーバースゲイ』

11月の「ジェンダーレス・ショート特集」の中で気になった作品、それはレインボーカラーのビビッドな色合いが印象的なコメディ、『ハッピーバースゲイ』(2022年・イスラエル)です。このタイトル、おわかりかもしれませんが、「ハッピーバースデイ」と「ゲイ」を掛け合わせたもの。息子ナダヴィのカミングアウト1年を祝うため、母ローニットは息子の彼氏オメルや仲間たちと共に豪華なサプライズパーティーを企画します。息子がゲイであることを容認し、それを堂々と公言するローニットですが、息子のお祖母ちゃん(ローニットの母親)が訪ねてくることになると、少し雲行きが変わってきます。息子が同性愛者であることを自分の母親(ナダヴィの祖母)だけは知ってほしくないとばかりに、それまでの態度が急変するのです・・・。

現在はLGBTQ+に対して社会全体の理解が進んできています。ローニットのように自分は偏見がなく、ジェンダーに対して進歩的だと自負している方も多いかもしれません。ですが、真にありのままを受け入れることは実は難しく、建前と本音の間で揺らいでしまう人間の心の複雑さが描かれており、そこにハッとさせられます。ゲイである息子の葛藤ではなく、その家族である母の内面にスポットを当てたところがこの映画の見どころであり、多くの人に突き付けられるテーマになっています。

『ハッピーバースゲイ』にペアリングしたいワインは・・・

ワイン名:ソフィア ブラン・ド・ブラン
生産者名:フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリー

※システム障害により、エノテカ・オンラインのご注文受付が一部商品を除き停止しております。大変恐れ入りますが、ご購入につきましてはワインショップ・エノテカ店舗のご利用をお願いいたします。

レインボーカラーのデコレーションなど華やかなお祭りムードに、より華やかさを添えてくれるスパークリングワイン

母親やナダヴィの彼氏、その友人たちが企画した仰々しいサプライズパーティーは、LGBTQ+の多様性を表すレインボーカラーのデコレーションやケーキなどがにぎやかに並び、華やかなお祭りムードそのもの。このパーティーの場にあると、より華やかさを添えてくれるのでは・・・そう思って選んだのが、映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が、愛娘ソフィアの結婚を祝して造ったブランドのスパークリングワイン、「ソフィア ブラン・ド・ブラン」です。パーティーの中身は大きく異なりますが、祝祭用ということで共通点がありますよね。ボトルのパッケージもおしゃれで、サプライズパーティーのテーブルに置いてあったとしても違和感がなさそうです。それもそのはず、コッポラ監督はワインの味わいはもちろん、作品からもわかるようにビジュアルにはとことんこだわるタイプ。瀟洒なボトルのビジュアルは、これからのパーティーシーズンを華やかに盛り上げてくれるはずです。肝心の味わいは、グレープフルーツや洋ナシのような果実味とフレッシュな酸、ほのかなミネラル感が広がり、エレガントな印象。軽やかで上品な味わいでどんな料理にも合わせやすい、これからのフェスティブシーズンに大活躍の1本です。

アメリカのカリフォルニア州北西部・ソノマ・カウンティに位置する「フランシス・フォード・コッポラ・ワイナリー」

フランシス・フォード・コッポラ監督と言えば、『ゴッドファーザー』、『地獄の黙示録』などの歴史的名作で知られ、押しも押されもせぬ映画界の巨匠。今年は構想40年をかけたという新作『メガロポリス』が日本でも公開されました。そんなコッポラ監督が、映画に劣らず、ワインに対して強い情熱を注いできたことをご存知でしょうか。2010年、「すべてのシーンに寄り添い、飲む人の人生に喜びをもたらすワインを届けたい」という想いから、アメリカのカリフォルニア州北西部に位置するソノマ・カウンティにフランシス・フォード・コッポラ・ワイナリーをオープンしました。そこでデンマーク・コペンハーゲンの「チボリ公園」をモデルとした、エンターテインメント性の高い唯一無二のワイナリー体験を提供し、カリフォルニアのテロワールを捉えた高品質なワイン造りを徹底追求しています。映画とワイン、まったく異なる2つのクリエイションでありながら、コッポラ監督はいずれにおいてもその才能を遺憾なく発揮しています。「ソフィア ブラン・ド・ブラン」を味わうと、そんな映画とワインの共通点が感じとれるかもしれません。

Writer:エノテカ広報・佐野

全国にワインショップを展開するワイン専門店「エノテカ」で広報を担当。映画とワインが大好物。映画やドラマにワインが出てくると、思わずチェックしてしまいます。ワインだけでもおいしく楽しめますし、映画単体でももちろん楽しいですが、2つをつなげてみるとより世界も広がって見えてきます。夜のリラックスタイムは、ぜひワインと映画のマリアージュを楽しんでみてください。

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