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Mar. 27, 2023

【海外トピックス】仏クレルモン=フェラン国際短編映画祭 2023 参加レポート

今年で45回目を迎えた世界最大級の国際短編映画祭、クレルモン=フェラン国際短編映画祭(正式名:FESTIVAL DU COURT MÉTRAGE DE CLERMONT-FERRAND)が1月27日~2月4日まで開催されました。今回、ショートショート実行委員会プロデューサーの青目健がこの歴史ある映画祭に参加してきましたので、その様子をレポートします。

世界最大級の国際短編映画祭が開催されるクレルモン=フェラン

フランスと聞けば誰もが真っ先に思い浮かぶのは、花の都パリ。
エッフェル塔に凱旋門、シャンゼリゼ通りにはビッグメゾンが軒を連ねる、世界屈指の観光都市ですが、実はフランスには毎年2月になるとショートフィルム関係者が世界中から集う場所が別にあるのです。
それが、パリから飛行機で1時間、鉄道で3時間程の距離にある、フランス中心部の街「クレルモン=フェラン」です。

周囲を山で囲まれたこの街は、かの哲学者ブレーズ・パスカル生誕の地としても知られ、彼が歩いたとされる街の中心部には、火山から切り出された石で作られた黒い教会「ノートルダム」が聳え立ち、周囲の石畳の道も相まって歴史深い美しさを感じます。

クレルモン=フェラン国際短編映画祭とは?

クレルモン=フェラン国際短編映画祭は、1979年の創立から今年2月の開催で45回目を迎えた世界最大級の国際短編映画祭です。
ショートショート フィルムフェスティバル & アジアが1999年の創立で、今年25回目の開催を迎えますので、20年先輩の映画祭になりますね。

今年は1月27日~2月4日まで開催され、約20に及ぶ各会場で、ショートフィルムの上映だけでなく、トークショー(マスタークラス)やワークショップ、ショートフィルムの売買が行われるマーケットが催されました。

マスタークラスには、短編から長編まで手がけ、監督作がヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映されるなど、国際的な評価を受ける女性監督サリー・ポッター氏が登場!
ハビエル・バルデムとクリス・ロックが共演した話題の新作ショートフィルム『Look At Me』について語られました。

サリー・ポッターのマスタークラス

ユーモアも交えた彼女の話しぶりには会場から度々笑い声も上がりましたが、後半のQ&Aでは、多くの質問に対し真摯に答えていた様子が印象的でした。

存在感を増す台湾の短編映画界

台湾のマーケットブース

様々な国と地域から集まった作品が上映される今年の映画祭において、強い存在感を示したのが、日本の隣国でもある台湾です。
映画祭を周る関係者が首から下げるストラップには「台湾」の文字が躍り、各上映会場では台湾のベテラン勢の作品から、インターナショナルスクールの学生作品まで幅広く上映が行われ、上映後のQ&Aには作品を製作した次世代を担う学生監督までもが登壇してトークをする等、積極的に台湾発のショートフィルムが猛アピールされていました。

台湾の学生プログラム

さらに、映画祭メイン会場の横にあるカフェバー「LES GRANDES TABLES DE LA COMÉDIE」には、装飾に提灯が吊るされ、台湾料理を映画祭コラボメニューとして提供! あまりの人気にお昼時には完売となっていました。

台湾コラボメニューが販売されたカフェバー

短編映画人の交流の場ショートフィルムマーケット

ショートフィルムの商談が行われるマーケット

各国から売り手と買い手が集まるマーケット会場は、熱気がむんむん!
各ブースそれぞれで商談が繰り広げられていましたが、ここでも地元欧州勢に引けを取らない広スペースを確保して臨んでいたのが台湾、そしてここ数年映画界を席巻している韓国。アジア勢を引っ張る気概を見せつけられたマーケットでした!

ショートフィルムの商談が行われるマーケット

クレルモン=フェラン国際短編映画祭の魅力

映画祭オフィシャルショップ

私は当初「なぜ必ずしもアクセスが良いわけではないクレルモン=フェランにこれだけ短編映画の関係者が集まるのか?」と疑問に感じましたが、滞在を重ねる内に、それがこの映画祭があらゆる意味で「短編映画の一大交流地」であるからという事が分かってきました。

各国の映画祭が交流したMEET THE FESTIVAL

街の通り沿いの大型ビジョンはもちろん、様々な飲食店や雑貨店のウィンドウにも映画祭のポスターが貼られ、お店に入ると「映画祭に来たの?」と声をかけられるほど。

街の映画祭ポスター表示

映画祭ポスターが貼られたショップ

各会場には上映を今か今かと待ちわびる来場者が行列を作り、各作品の上映が終わる度に巻き起こる拍手!そして観客同士の議論!本当に街全体で映画祭が開催されるのを心待ちにし、開催を応援している雰囲気が伝わってきました。

キッズ向けプログラム上映の様子

さらに夜になれば、昼間の映画祭で知り合った人たちで集う交流イベントが様々な形で同時多発的に行われ、それも映画祭が街の活気に一役買っているとも感じます。

街の各地で行われる交流イベント

コロナ禍を経て、益々リアルに集う事の大切さや喜びを実感する旅となりました。

Writer:BSSTO編集部

「暮らしにシネマチックなひと時を」
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