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Mar. 27, 2026

【ワイン with ショートフィルムの時間】ワインwithショートフィルムの時間~vol.15

土地や気候、育て、醸造する人の気持ち。
その味わいの中に感じられる個性的な表情は、ショートフィルムの世界と似ています。
作り手はどんなことを考えていたのか、その年はどんな年だったのか—。
このコラムでは、そんなことを思い浮かべながら、ワインとショートフィルムのペアリングを、ワイン専門店エノテカの広報、佐野昭子さんに紹介いただきます。
ショートフィルムのストーリーと、ワインの香りや味わいが織りなすひと時をお楽しみください。

今月のピックアップ・ショートフィルム:インドのサリーの艶やかな色彩が美しい作品『サリーショップで』

3月のBSSTOは、3月の国際女性月間に合わせて、世界の女性監督の視点による4作品を紹介した「Dear My Life~私を生きる、4つの物語」が特集されています。作品は、女性ということだけに捉われず、“自分らしく生きるとは”について、インド、フランス、ベトナム、イラクを舞台に描かれています。それぞれの作品が撮られた国の古くからの慣習なども相まって、自分らしく生きることの難しさに身につまされながら、「果たして自分は今の環境で自分らしく生きられているのか?」、そんな疑問まで持ってしまう珠玉の作品たちです。

そのなかで特に印象に残ったのが、インドの艶やかなサリーの色彩が映像的にも美しい作品、『サリーショップで』(2024年・インド/アメリカ)です。
主人公のニールはインド系アメリカ人。姉の結婚式のためにインドを訪れ、衣装選びのために姉たちと一緒にサリーショップを訪れます。インドの伝統色が色濃く残るサリーショップ。姉はそこで自分の衣装を選びながら、ニールにも式でサリーを着るよう促しますが、華やかで派手なサリーを着ることについて、サードカルチャーキッズ*であるニールは違和感を覚え、返事を濁します。

サリーに違和感を持ちはしたものの、ニールはそこで出会ったサリーショップの無口な店員ゼイブと出会うことで、“自分らしく生きること”の啓示を受けます。生まれ持った性別に伴う運命や、ときに不可解にも感じる風習にとまどいつつも、絶望することなく前向きに生きるニールやゼイブの姿は、私たちに強烈なポジティブパワーを与えてくれます。女性男性問わず観ていただきたい、すばらしい作品です。

*親の仕事などで母国を離れ(第一文化)、成長期を異国(第二文化)で過ごし、それらの融合・独自の文化(第三文化)を持つ世代のこと。

『サリーショップで』にペアリングしたいワインは・・・

ワイン名:モスカート・ダスティ
生産者名:サラッコ

作中のインド菓子「ジャレビ」に合う、イタリア・ピエモンテ産の甘口微発泡ワイン、モスカート・ダスティ

この作品では、ニールがサリーショップに向かう途中、トゥクトゥクの運転手がインドのお菓子の名店をニールに伝えるシーンが登場します。インドを代表するジャレビという庶民的なこのお菓子は、小麦で作った生地を油で揚げ、さらにそれを砂糖のシロップ漬けにしたカロリー爆弾のようなスイーツです。このお菓子にワインを合わせるなら…そんなふうに考えて思いついたのが、イタリア・ピエモンテ州のアスティ地域で白ブドウ品種のモスカート・ビアンコを使って造られる甘口微発泡ワイン、モスカート・ダスティです。優しい甘さが特徴のワインで、現地ではヘーゼルナッツケーキなどのお菓子やデザートなどによく合わせられることから、ジャレビにもしっかり合うのではと…!

とびっきり美味しいモスカート・ダスティを楽しみたいなら、「モスカートの巨匠」と言われる生産者、サラッコがおすすめ。サラッコのモスカート・ダスティは、単に甘いだけではなく、酸と果実味のバランスに優れており、モスカートの持つエレガンスとアロマティックな個性が最大限表現されています。優しくみずみずしいフルーツのようなこのワインが、作品の心地よいエンディングをさらに爽やかに盛り上げてくれそうです。

生産者のPaolo SARACCO氏

イタリア・ピエモンテ州で主に栽培されるモスカート・ビアンコ

イタリアの中でも、ピエモンテ州でその大半が栽培されるモスカート・ビアンコ。このブドウは、その香りからもわかるとおり、皆さんよくご存知の白ブドウ、マスカットのこと。柑橘系果実や甘い白桃、エキゾチックなフルーツなど、モスカートの典型的なフルーティーなアロマに、オレンジの花やセージ、タイムのニュアンスが重なったピュアで力強い香りがグラスから溢れ出します。クリーミーな質感でリッチな印象ながらも、酸と甘みのバランスがよく取れているエレガントな味わいで、レモンの皮やジンジャーの風味を伴った爽やかな余韻が長く続きます。食前酒やデザートとのペアリングはもちろん、スパイシーな味わいをマイルドにすることから、インドやタイ料理などのエスニック料理とも好相性です。

Writer:エノテカ広報・佐野

全国にワインショップを展開するワイン専門店「エノテカ」で広報を担当。映画とワインが大好物。映画やドラマにワインが出てくると、思わずチェックしてしまいます。ワインだけでもおいしく楽しめますし、映画単体でももちろん楽しいですが、2つをつなげてみるとより世界も広がって見えてきます。夜のリラックスタイムは、ぜひワインと映画のマリアージュを楽しんでみてください。

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