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COLUMN
Feb. 24, 2018

【映画で語るウェディング】カリスマウェディングプランナーが選ぶ!
ベストウェディング映画『Love Actually』

「あなたの結婚式」と聞いて想像するのは、幼いころにどこかで得た華やかで憧れのワンシーンのイメージではないでしょうか。
特に映画やドラマを通して知る欧米の結婚式は、日本とは異なる結婚式のスケールや文化・慣習に驚くとともに、ゴージャスな雰囲気やナチュラルなスタイルに憧れてしまいますよね。

結婚式の打合せでは、映画の話題にふれることがたくさんあります。それは映画が、結婚式をより素敵なものに変えるエッセンスとインスピレーションを与えてくれるものだからです。
たくさんの映画の中でも、新郎新婦様へのアンケートで選ばれることの多い「ウェディング映画」といえば『Love Actually』(2003年)。作品の前半に出てくる結婚式は、まさに理想の結婚式!と評されることも多く、長きにわたり憧れを集め続けています。

今日は『Love Actually』から学ぶ「結婚式に忘れてはならない2つのこと」についてお話します。

『ラブ・アクチュアリー / Love Actually』
(C) 2003 WT Venture LLC. All Rights Reserved.

心に残る結婚式は「自己満足」にならない「共感」によってうまれる

結婚式ってカタチとして残らないからこそ、心にどれだけ残せるかが大切です。五感に伝わる結婚式の上をいく、“第六感”に伝わる結婚式づくり。
以前「Love Actuallyみたいな結婚式にしたい!」という新郎新婦様のお手伝いをしたことがあります。

さあ、どうするか?

「Love Actually」で一番印象的なのは、その場にいる全員を心から笑顔にする結婚式でのサプライズのワンシーン。
その映画を知らない人も多くいる中で、映画の演出を緻密に再現したとしても、ゲストに伝わらなければ、主役の二人の自己満足になってしまうものです。それは本当の意味では新郎新婦様が望むこととは違います。映画の中でもたくさんの登場人物それぞれのストーリーを知り、ひとつひとつに思いを馳せるからこそ、主人公の感動に心を寄せることができるはず。
大切なのは、その場にいる新郎新婦もゲストも楽しめる結婚式であること。そのためには、大がかりな演出ではなくちょっとしたアイディアの積み重ねが必要で、もともとは作品を知らないゲストも「Love Actually」の雰囲気を肌で感じ、その世界観に溶け込める結婚式をつくることです。

たとえば、会場入り口のウェルカムボードは「Love Actually」のポスター風にすることや、挙式の新郎新婦退場にはメインテーマのBGMを使うこと、披露宴会場の装飾には作品の中の象徴的な赤いリボンを使うこと。そしてその意味をペーパーアイテムや司会者からのアナウンスで少しずつゲストに伝えていくこと。
さりげない演出の積み重ねがゲスト同士の間での話題を生み、時間をかけて映画の世界に引き込み、ひとつの共感をしっかりとつくり出すのです。

この日、多くのゲストから新郎新婦様に寄せられたのは「こんな笑顔になれた結婚式は他にはない」という感想でした。これこそが「Love Actuallyみたいな結婚式」の本質だったと言えるでしょう。

(C) 2003 WT Venture LLC. All Rights Reserved.

Love actually is all around

さて、この映画はそもそものコンセプトが魅力的です。作品冒頭のシーンは、ロンドン・ヒースロー空港。そこでのナレーションの中で「Love actually is all around=愛はいたるところにある」という言葉が出てきます。

どんな人も愛に囲まれているということ。

ここでいう「愛」は一つではありません。
男女の愛、家族への愛、友人への愛、大切な人への「愛」には、たくさんのカタチがあります。でも、日常の中ではその愛に気づかないことの方が多いのではないでしょうか。
「Love Actually」の中では、スペシャルだったり、ユニークな愛ではなく、ごくありふれた日常にあふれている「愛」の温かみや大切さを伝えています。

このことも、結婚式を終えた多くの新郎新婦様が、結婚式を“たくさんの愛に気づき実感することのできる時間”だったと表現されることにつながっているでしょう。

たとえば、挙式。
花嫁が歩くバージンロードには意味があります。
花嫁の人生を表していて、過去から現在、そして未来へ歩いていく道と言われています。生まれたとき、歩き始めたとき、初めてことばを話したとき、ランドセルをせおったとき、反抗期・・・などを思い出しながら、今までの人生を一番近くで見守り、支えてくれた両親とともにバージンロードを歩きます。
この瞬間「エスコートをする両親→花嫁」の愛、「花嫁→両親」への愛があふれています。

列席している友人はどんな思いでしょうか。
恋ばなをしながら歩いた帰り道のことや、部活に明け暮れた学生時代のことを思い出している人もいるでしょう。花嫁の友人からの「友としての愛」があふれています。

遠い席からおばあちゃんが嬉しそうに花婿をお祝いしています。
共働きの両親に代わって母親代わりだったおばあちゃんが、野球部でともに汗を流した友達のスピーチに涙する花婿に贈る深い愛がそこにあります。

参列するゲストは、忙しく過ごす日々の中で結婚式という瞬間に一度足を止め、たくさんの愛を目の当たりにすることで、その愛の存在に気づきます。そして、披露宴の帰り道に大切な人のことを思い出してしまうものです。まさに、「Love actually is all around」です。

結婚式は毎日あるものではないからこそ特別な体験になるものですが、日常に隠れた大切なものに気づかせてくれるからこそ特別な一日になるとも言えるかもしれません。
そこで感じる温もりや大切な気持ちは「Love Actually」を観たあとに感じる温かさと同じだと、わたしは思います。

人と人が集まる空間で起きる出来事と出来事の間。映画には、その隙間をちょっと素敵に埋める、そんなエッセンスがつまっています。

『ラブ・アクチュアリー』
価格 ¥1,500+税
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA

T&G Films

T&G Films」は、ウェディングプロデュースT&Gが手掛ける、全国30会場の一軒家貸切のウェディング会場で体験する、新感覚の映画イベントです。
1時間で各国映画祭を受賞した34作品のショートフィルムを上映しており、これまでにも「Love」「Happy End」などのテーマを設定した心温まる作品を上映しています。
非日常的な空間で、グラスを傾けながら「ショートフィルム」をゆったりとお楽しみいただける注目の映画体験です。

詳細はオフィシャルサイトにてご確認ください♪
https://tandgfilms.com/

Writer:宮﨑 いづみ

ウェディングプランナーとして国内婚礼最大手のT&Gに入社して以降、新郎新婦の言葉にならない希望に寄りそった幅広い提案の豊富さで高い人気をもち、300組以上の結婚式をゼロから企画して担当。派手さにごまかさず、新郎新婦の人柄が透けて見える温かいパーティを得意とする。

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