東日本大震災からもうすぐ10年。震災は多くの命や財産を奪った災害であったと同時に、生き方や人生に大切なことを見直す機会になりました。10年という区切りを前に、今一度当時を思い出し、この10年間のことを振り返る。そして、私たちが大切にすべきことは何か改めて考える時間をお一人お一人が持ってみてはいかがでしょうか?
今回は震災から5年後の2016年に製作されたショートフィルム『未来のカケラ』をご紹介します。岩手県の小学5年生・岩間壮太さんの作文が原作になった本作。本稿では、4月から高校2年生になる岩間さんからのコメントもご紹介します。
【あらすじ】
一軒家の建築現場。見習い大工の壮太はある日、棟梁の及川から一人でお客様の物置を造るよう命じられる。
一人前の大工として認められるための初めての「お仕事」に、気合いの入る壮太。
しかし、物置造りを進めていく中で、まだ会ったことのない施工主に対して、壮太にある疑問が湧く・・・。
見習い大工としての何気ない日常から明らかになっていく、壮太が大工になった理由。
そこには過去に自分と同じ痛みを背負った大切な人への想いが溢れていた・・・。
監督: 渡邊世紀 / 制作国: 日本 / 制作年: 2016 / ジャンル: ドラマ / 尺: 15:17
出演: 須賀健太 大島麻衣 塩野瑛久 栗山航 戸塚純貴 六平直政
本編映像
ショートフィルム『未来のカケラ』は、東日本大震災の後、政府広報室が実施した「未来へススモーション!! 新しい東北キャンペーン」の一環で募集した「わたしたちのふるさと、10年先の物語」東北を元気にする作文短編映画化プロジェクトにおいて、最優秀作品に選ばれた岩手県上閉伊郡大槌町在住の岩間壮太さん(小学5年生)の「震災から4年と半年(感謝を忘れない)」を原作に、国際短編映画祭 SSFF & ASIAがプロデュースした作品です。
撮影は、平成27年12月に、原作者の岩間壮太さんが住む大槌町の仮設住宅や復興工事現場などで、町民の方々、復興作業に携わる方々などのご協力をいただき行いました。
出演は、須賀健太さん、大島麻衣さん、六平直政さん、塩野瑛久さん、栗山航さん、戸塚純貴さん(岩手県出身)。
監督・脚本は、「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」特別製作作品『ゆっきーな』、『死神失格』、人形遣い、百鬼どんどろ・岡本芳一の舞台演目を完全映画化した『VEIN-静脈-』の渡邊世紀さんが務めました。
このほど、岩間壮太さんにコメントをいただきました。現在16歳で4月から高校2年生です。
所属している部活動は陸上競技部で、建築について学ぶために大学の工学部に進学しようと勉強を重ねています。
Q.ショートフィルムの完成から5年が経ちましたが、いま改めて作品を視聴してみて感想はいかがですか?
A.物が壊れたとしても残り続ける「思い」の強さを感じました。ただ、記憶という物は時間と共に薄れていくものでもあり、それを止めておく「物」の大切さも同時に感じることができました。そのような面でも、長い間そこに有り続ける建築物は重要だと思います。
Q.5年前、そして10年前と現在を比べて、被災地や岩間さんの家族のいちばん大きな変化はなんでしょうか?
A.地域が賑やかになったことだと思います。町中にはまだ空き地もたくさんあるし、毎日見ていると些細な変化ですが、それでも震災当時から比較したり、数年単位で比較するととても大きな変化だと思います。
Q.将来の夢や目標について教えてください。
A.昔と変わらず、建築士になることです。建築物は防災に直接関わると思います。東日本大震災以降も、他の地方で地震が起こったというニュースを見て、建築物の重要さを改めて実感しました。建築に携わって、防災という面で誰かの助けになりたいという思いが一層強まったと思います。
Q.「未来のカケラ」を見た人に伝えたいこと、共有したいことはありますか?
A.震災の影響を受けた人も受けてない人もこの映像で防災に意識を持ってもらい、震災を知らないこれからの世代に語り継いでほしいと思っています。
Q.次の10年、東北をはじめ、日本や世界がどんな風になってほしいと思いますか?
A.震災のときは様々な人々から支援して頂き、人の温かみを感じました。これからの世の中では、何かあったら国や言語の違いを越えて助け合える様な世界になってほしいと思います。
読者の皆さんにとってこの10年はどんな時間でしたか?
そして、この先の未来に何を残していけるでしょうか?
作品をご覧になって、ぜひご感想をYouTubeコメント欄やTwitterにお寄せください。
作品の視聴はこちら
『未来のカケラ』より
Writer:BSSTO編集部
「水曜夜は、わたし時間」
シネマな時間は、あなたがあなたに戻る時間。
「ブリリア ショートショートシアター オンライン」は、毎日を忙しく生きる社会人の皆さんに、映画のあるライフスタイルをお届けします。
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