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COLUMN
May. 04, 2018

【VR映画を体験しに行こう -新しい映像世界へようこそ-】〔第2回〕VR映画にみる“映像表現の進化”

こんにちは、VR映画プロデューサーの待場勝利(まちばかつとし)です。
今回は“映像表現の進化”をテーマにVRと映画について考えていきます。
写真から映像が始まり、白黒からカラーに、そしてSFXや3DCGへと映画の表現方法は進化をしています。VR映画に関してもその進化の1つだと私は考えています。VRを使ってどんな映像表現をしているのかを、世界のVR映画作品を取り上げながら知っていけたらと思います。

初めてVR用ゴーグルを被って驚くのが、自分の視界全体、360度見渡しても、映像の世界に入り込んだような感覚(=没入感)の作品を視聴した時だと思います。それは映像を視聴するというよりも、体験すると言った方が正しいかもしれません。今回はそんな360度、全天球のVR映画作品をいくつか紹介します。

まずはyoutubeで“How to Watch 360” featuring Buggy Night, a Google Spotlight Storyを見てみましょう。

“How to Watch 360” featuring Buggy Night, a Google Spotlight Story

この映像ではVR用ゴーグルを使わない方法で、360度映像の見方を簡単に紹介しています。VR用ゴーグルを使っていないので没入感はあまり感じませんが、初めて360度の映像を見回すという感覚を味わうには良いと思います。それだけでもビックリする映像体験になるかと思いますが、同じ映像をVR用ゴーグルを通して見ると、さらに驚きの体験が可能となります。

<楽しい360度の世界を描いた作品>

「buggy night」 director: Mark Oftedal

セリフもなく、とてもシンプルな内容の作品です。暗闇の森の中、懐中電灯を照らして可愛らしい虫のキャラクターを探す作品です。虫を見つけると虫はビックリして、また暗闇の中に逃げて行きます。虫は全部で5匹いるようで、暗闇の森の中を360度見回しながら虫を探します。
よくイベントでVR動画を体験していただく際に、初めてVRを体験される方が360度見渡せるという感覚が分からず、映像の前方向だけを見ている方がよくいます。そんな時には「映像は360度あるので、360度全体を色々と見渡してください。」と教えてあげています。この作品に関しては、そんなことを教わらなくても、自然と360度見渡したくなるように演出がきちんとされているのです。可愛い虫のキャラクターを探そうとして、自然と360度全体を見渡したくなります。
さて作品の内容ですが、暗闇から虫を見つけると、また虫は暗闇に逃げて行くのですが、途中で虫の天敵、カエルが出てきます。カエルは次々と虫を食べてしまいます。最後、虫は一匹だけになってしまい、その虫もカエルに見つかってしまいます。そして……。最後は是非とも本作品を見て確認して見てください。360度動画を初めて見る方にオススメの可愛らしい作品です。

「Pearl」 director: Patrick Osborne

監督は「愛犬とごちそう」でアカデミー賞短編アニメ賞を受賞したPatrick Osborne監督です。この作品はVR作品として初めてアカデミー賞にノミネートされました。

先ほどご紹介した「buggy night」よりも深いストーリー性がある作品です。
内容は父親と娘2人のロードムービーが中心で、基本的に車内の定点から2人の半生を体感するドラマになっています。セリフはあまり無く、オリジナル曲がずっと流れています。ミュージシャンを夢見る父親が幼い娘を連れて、各地を車で周ります。自動車の中で幼い娘が成長していきます。父親に反抗したり、仲間もできたり、娘自身もミュージシャンを目指す様子が描かれています。
一方で父親は車中生活をやめて、自宅を手に入れ、車を娘に譲ります。そして父親自身も年を老っていく姿が描かれます。そんな2人の成長を見守っていた自動車も古くなり動かなくってしまいます。動かなくなった車の中で何かを思いつく娘。娘が思いついた最後のサプライズとは……!?
ジンワリと感動する作品です。一般的にあまり知られていない作品だとは思いますが、VR映画の初期作品としてはずっと語られる作品になるのではないかと思います。必見です!!

「buggy night」と「Pearl」の見方

「Google Spotlight Stories」アプリをスマートフォンがAndroidの方はGoogle Playから、iPhoneの方はApp Storeからダウンロードしてください。youtubeでもご覧になれます。360度動画だけでも十分に楽しめる作品ですが、是非ともVRゴーグルで見てほしいです。きっと360度を見回すだけとは違う“映像世界に入る”という感覚を知ることができると思います。

【Google Spotlight Stories】
Google Play:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.spotlightstories&hl=ja
App Store:
https://itunes.apple.com/jp/app/google-spotlight-stories/id974739483?mt=8

【VRゴーグルとは?】
スマートフォンをつけることで、Virtual Reality(=仮想現実)を体験することができるゴーグルのことです。段ボール製のVRゴーグルなどは1,000円ぐらいから手に入れることができます。プラスチック製のものもあります。色々と体験してみて自分にあったVRゴーグルを探してみてください。

VR CRUISE

⾼品質な映像VR をキュレーションするVR ポータルアプリ。アーティストのライブや エンタメコンテンツ、スポーツ、ニュースなど幅広いジャンルのVR コンテンツを多数掲載。DMM.com、ハコスコ等でVR CRUISE チャンネルを展開中。

VR THEATER

全国の複合カフェ、ホテル、カラオケ、ゲームセンター等で、気軽にバーチャルリアリティを体験できる店舗常設型サービス。

Writer:待場勝利(まちば・かつとし)

株式会社eje、VR推進部執⾏役員。⼤学を卒業後、アメリカで映画製作を学ぶ。TV ディレクター、20 世紀フォックスホームエンターテイメントジャパンで⽇本語版プロデューサー、サムスン電⼦ジャパンではGear VR を担当。2016年から株式会社ejeでVRのコンテンツに関わる。数々のVR Project を担当。ejeではVR CRUISEとVRTHEATERの運営に携わる。
Twitter:
https://twitter.com/VR_CRUISE
Facebook:
https://www.facebook.com/VRCruise

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