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【あらすじ】
高齢夫婦のフレッドとドリーン。定年退職し家でゴロゴロする夫フレッドに妻ドリーンは苛立ち、二人の結婚生活に初めて亀裂が入る。ある日、演劇を利用したグループセラピーのチラシを見つけたフレッドは、自分自身を見つめ直すため、そして結婚生活に必要な魔法と音楽を取り戻すためセラピーに通い始める。しかしドリーンはフレッドの「馬鹿げた」振る舞いに恐怖を覚え…。
【監督コメント】
私の親しい友人がいつもと同じようなたわいもないやりとりをした後で、電話をしてきました。
「夫がバレリーナの格好をしたので最近は落ち込んでいる」と。
私はここからストーリーを膨らませることができると気がつきました。
私には友人の夫の振る舞いが最初はコメディのように思えました。ですが、彼女に彼のおかしな振る舞い(自己啓発セミナーから影響を受けたらしい)について詳しく聞くうちに、私はより強く興味を惹かれました。
私たちは人間として、幸せになることを望んでいるけれど、もしも「幸福」が私たちの常識に馴染まないものだと気がついてしまったら、判断と嘲笑に晒されることになります。そして、しばしば私たちはその恐れに蓋をし、希望や夢を抑圧することになります。
それでもなお、私たちは本当の自分でいることを許せるのでしょうか?
私は、「笑われるけれど幸せ」と「常識的だけれど不幸せ」との間の衝突について探求してみたいと考えました。
南アメリカからイギリスに移住して、私はしばしばジレンマに直面しました。順応することは本当の私であることを損なうと。
「フレッド&ドードー」は熟年夫婦がこの危機に直面した様を描く物語です。
「これがありたい場所(姿)なのか」引退後に考えることは重要なことです。突然時間ができて問いと向き合う時間ができたのですから。私たちは「遅すぎることはない」と自分達に言い聞かせます。しかし、熟年の彼らにとって人生の残り時間は明確に少なくなっています。
私たちが本当の自分と向き合い、個としての喜びと自由を発見するとしたら、人間関係にどのような影響を及ぼすでしょうか?家族や社会に対する大人としての責任を果たすことが当たり前になったのちに。
私たちは、私たちが本当の自分でいられることを許せるのでしょうか?
私は人間がこの問いに直面することに心を動かされ、誠実にこの物語を描こうと努力しました。ユーモアも交えながら。
人生というものはしばしばおかしなものです。
本作は究極的には、幸福を得ようともがく2人のラブストーリーです。
物語は、複雑で、同じくらいシンプルです。
Barbara Elbinger
アルゼンチン生まれ、演技と映画制作を学ぶ。現在はイギリスを拠点に活動している。2015年ショートフィルムコンペティションで低予算のコメディ作品『A WAKE』を企画。同作は彼女にとって実験的な作品で、監督としての基礎となった。心理学を学んだ経験と本作は監督としての正式なデビュー作品である。