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Oct. 16, 2026

【ワイン with ショートフィルムの時間】ワインwithショートフィルムの時間~vol.22

土地や気候、育て、醸造する人の気持ち。
その味わいの中に感じられる個性的な表情は、ショートフィルムの世界と似ています。
作り手はどんなことを考えていたのか、その年はどんな年だったのか—。
このコラムでは、そんなことを思い浮かべながら、ワインとショートフィルムのペアリングを、ワイン専門店エノテカの広報、佐野昭子さんに紹介いただきます。
ショートフィルムのストーリーと、ワインの香りや味わいが織りなすひと時をお楽しみください。

今月のピックアップ・ショートフィルム:“ニューヨークで本当にセレブが通う店”として知られる、有名イタリアンレストランにカメラを向けたドキュメンタリー『エミリオズ・バラードの舞台裏』

雨続きだった9月が終わり、10月は一転、秋の気配とともに幕を開けました。料理もワインもぐっと美味しくなる、食欲の秋の到来です! そんな季節にぴったりの10月のBSSTOは、「心が満ちるSHORT FILM RESTAURANT」。食にまつわるショートフィルムの特集です。
どの作品にも思わず喉が鳴るような料理が次々と登場しますが、なかでもぜひご紹介したいのが、ニューヨーク・マンハッタンの有名イタリアンレストランにカメラを向けたドキュメンタリー、『エミリオズ・バラードの舞台裏』(原題:Di Sarno- The story of Emilio’s Ballato/2023年・アメリカ)です。
舞台となる「エミリオズ・バラード」は、ニューヨーク屈指の“予約困難店”。1956年創業の老舗で、現在はヴィトロ・ファミリーが家族で営んでいます。行列覚悟の人気店として知られ、店内の壁には著名人の写真がずらり。近年もSNSやメディアでセレブリティの来店がたびたび話題となり、“ニューヨークで本当にセレブが通う店”として注目を集めているそうです。

提供されるのは、昔ながらの“イタリアン・アメリカン”ではなく、本格的な南イタリア料理。貫禄あるオーナーのエミリオ・ヴィトロ氏は南イタリア・カンパーニア州サレルノ出身。ところどころで故郷イタリアの映像も挟みながら、彼の自信に満ちた語り口とともに、息子たちと役割を分担しながら店を切り盛りする姿が描かれます。そして何より引き込まれるのが、上品でありながら堅苦しさのない、ガヤガヤとした心地よい活気に満ちた店内の空気。イタリアンが大好きな私は、「このレストランに行くためだけに、ニューヨークへ行きたい!」と本気で思ってしまいました。美味しい料理とワイン、心地よい空気感、そしてお客様の笑顔――。そこには、ファミリーが長い年月をかけて築き上げてきたからこそ生まれる、唯一無二の魅力が詰まっています。ニューヨークという世界有数の流行都市で70年近い歴史を持ち、セレブと地元客に愛され続けるイタリアン。世界でも稀有と言えるこのレストランの雰囲気に触れるだけでも、一見の価値ありです。

『エミリオズ・バラードの舞台裏』にペアリングしたいワインは・・・

ワイン名:グイダルベルト
生産者名:テヌータ・サン・グイド

ワインと料理の結びつきが、ほかのどの国よりも強いイタリア

イタリアンに合わせるなら、もちろんイタリアワイン。ところで、イタリア料理を前にすると、なぜかボルドーでもブルゴーニュでもなく、イタリアワインが飲みたくなりませんか? この不思議な心理、実は単に「同じ国だから」というだけではありません。イタリアでは、ワインは料理のためにあり、料理はワインとともにあるもの。ワインと料理の結びつきが、ほかのどの国よりも強いのです。そこで選んだのが、イタリアワイン好きなら知らない人はいない至宝「サッシカイア」を手がける、テヌータ・サン・グイドの「グイダルベルト」。実はこのワイン、映画の中にもチラリと登場します(何度も見て確認したので、間違いないかと…)。「サッシカイア」とは異なるアプローチで造られ、若いうちから美味しく楽しめる1本。さすが人気店、良いワインを出しているなあ、と唸らされました。観終わる頃には美味しいイタリアンが食べたくなること必至。ぜひイタリア料理と「グイダルベルト」を用意して、本作をお楽しみください!

「グイダルベルト」のラベルに描かれている、トスカーナ州ボルゲリ地区にあり、この地域を象徴するサン・グイド礼拝堂。

「サッシカイア」を手掛ける名門テヌータ・サン・グイドのもうひとつの顔、熟成を待たずとも楽しめる「グイダルベルト」

テヌータ・サン・グイドのワイナリーが位置する海岸沿いのボルゲリ地区。生物多様性を育む森やオリーブの木々に囲まれているほか、森から吹き抜ける涼風の効果もあり、複雑で特長的な気候に恵まれている。

イタリアで最も有名なワインのひとつ、「サッシカイア」。そのリリース当時、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が85%を超えるワインは、イタリアの原産地呼称法上、トスカーナで認められた原産地呼称を名乗ることができませんでした。しかし、その品質は当時から群を抜いていたため、トスカーナの規定を超越した存在として「スーパータスカン」と称され、1980年代には熱狂的なブームが世界中へと広がったのです。テヌータ・サン・グイドが目指すのは、フィネス、バランス、酸を備えた古き良きボルドーの味わい。それでいて、厳格なボルドーのグラン・ヴァンとはどこか異なる、イタリアワインらしい明瞭さと、優雅で堂々たる品格を感じさせてくれます。
「サッシカイア」が言わずと知れたワイナリーの原点だとすれば、「グイダルベルト」はそのもうひとつの顔。熟成を待たずとも、ボルゲリのテロワールとテヌータ・サン・グイドのスタイルを感じられるワインです。「より多くの人々に、この土地の優位性とワイナリーの存在を知ってもらいたい」という願いから誕生しました。カベルネ・ソーヴィニヨン主体にカベルネ・フランをブレンドする「サッシカイア」に対し、「グイダルベルト」はカベルネ・ソーヴィニヨン主体にメルロをブレンド。テヌータ・サン・グイドの美学が息づく1本を、ぜひお楽しみください。

テヌータ・サン・グイドが所有する畑は、サッシカイアの名前「サッシ=石、カイア=~な場所」が表すとおり、石ころが多い。

Writer:エノテカ広報・佐野

全国にワインショップを展開するワイン専門店「エノテカ」で広報を担当。映画とワインが大好物。映画やドラマにワインが出てくると、思わずチェックしてしまいます。ワインだけでもおいしく楽しめますし、映画単体でももちろん楽しいですが、2つをつなげてみるとより世界も広がって見えてきます。夜のリラックスタイムは、ぜひワインと映画のマリアージュを楽しんでみてください。

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