Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINEでは、様々な執筆者にご協力いただいて映画の視点で暮らしを豊かにするヒントをご紹介してきました。
今回はそんなコラム記事をダイジェストで振り返ります。映画好きの方はもちろん、ファッションやインテリアに「自分らしいなにか」を取り入れたい方にぜひ読んでいただきたい内容です。
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文化服装学院で教鞭を執る菅原敬太さんに、月に1回執筆いただいている「ファッション×映画」のコラム。ファッションの視点で、いろいろな映画を解説しています。
たとえば、「『ラ・ラ・ランド』 ―ファッションは「ああなりたい」から始まるもの―」では、米ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』の主人公のファッションを解説。ピアニストの夢を追うライアン・ゴズリング演じるセバスチャンと、女優の夢を追うエマ・ストーン演じるミア。
序盤の初々しい二人の心象を表現するファッションと、終盤に夢を叶えたふたりが身を包むファッション。その対比で、ファッションと人生のステージとの関係を紐解きます。
“ファッションとは「夢を掴む原動力」であり「夢を掴んだ証」である”
私たち自身、自己表現としてどんな服を着るべきか。考えるのが面白くなる視点です。
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あなたは生活に対してどんな価値観を持っているでしょうか?「ミニマルにシンプルな生活を送りたい!」と考えている人もいれば、「とにかくカワイイものに囲まれたい!」というひともいるかもしれません。バブル時代には鉄板のライフスタイルがあったものの、現代はマスメディアの影響力の低下などもあって、趣味趣向が多様化しているとも言われています。
ライフスタイルは、万人に通じる共通の幸せ像を体現するものから、それぞれの心から好きなものや、繋がりたい文化を表現するものへと変わっています。意識して洗練された暮らしをしようと努力せずとも、普段の生活の中で選び取ったものの積み重ねが、ひとりの人間のライフスタイルを形作っているとも言えるでしょう。
映画においては、登場人物の価値観=ライフスタイルを印象付けるために、インテリアの演出にこだわっている作品が多くあります。例えば、クリスマス映画の定番『キャロル』は、年齢も社会的地位も異なる二人の女性が主人公。若いテレーズの部屋は、ちぐはぐとした感じのインテリア。セレブなキャロルの部屋は、高級な統一感のあるインテリア。この背景にあるライフスタイルの違いを、「『キャロル』
―インテリアを通じて映画鑑賞してみよう!!―」では読み解いています。
あなたを主人公にした映画があったら、どんなインテリアになるでしょう?考えてみると、自分の価値観を客観視するきっかけになるかもしれません。
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自分らしいライフスタイルを表現するヒントを映画はくれます。見方を変えれば、自分の好きなものと向き合うきっかけをくれるのも映画かもしれません。
そういう意味では、「本」との出会いも、眠っている自分の好奇心を呼び起こす機会だと言えるでしょう。
月に1回の連載【シネコヤが薦める映画と本】は、一人の女性の目線から、好きな本と映画をギュギュッと語るコラムです。神奈川県藤沢市の商店街の一角で「映画と本とパンの店・シネコヤ」を営む竹中翔子さんが、影響を受けた映画と本を関連付けながら紹介しています。
たとえば、「〔第1回〕『パターソン』と茨木のり子〜飾り気のない日常の映画や詩〜」では、アダム・ドライバー主演の映画『パターソン』と、茨木のり子著『自分の感受性くらい』を「詩」という共通点で紹介。「飾らないその人の本当の姿が見えるものが好き」と語る竹中さん。どんな映画を観て、どんな本を読んできたのか。当たり前のようですが、どんな文化に接してきたかで、その人の人となりが形作られると言えそうです。
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「ライフスタイル」という言葉。何にでも使えるマジックワードであるがゆえに、何を言いたいのかわかりづらい節があるように思います。ファッション・インテリア・本・食・健康・旅行etc…とりあえず、雑誌もショップも「ライフスタイル系」と一括りにしてしまっているように思います。
ただ、こうして1年近くコラムを製作してきて、「ライフスタイル」=「その人らしさの表現」と言い換えることができるのかな、と思うようになりました。そして、「らしさ」を作り、表す手段として「映画」も位置付けることができるのではないかと。
衣食住のインフラと違って、文化って人間が生きる上での必要なものとしては見なされにくい。
ですが、文化がなぜ必要か問われたら、私はこう答えます。
「一人一人の人間が、心を常に健康に保つために必要なものが映画を含む文化である」「心を健康に保つために必要なのは、その人がその人であっていいいと肯定してくれる何かなんじゃないか」と。
「ライフスタイル」=「あなたを表現するための手段」として、2019年も、色々な切り口で「映画のある暮らし」を紹介していこうと思います。
(編集長・大竹)