国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル & アジアと連携して、国内外のショートフィルムを紹介しているBrillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE。本連載では、一人ずつショートフィルム作家をご紹介しています。長編映画やテレビドラマ、CMやMVで活動している方も多いですが、そんな作り手たちも、あえてショートフィルムを撮り続けています。作り手としてショートフィルムのどんな点に魅力を感じているのでしょうか?7回目の今回は、SSFF & ASIA 2021 U-25プロジェクトで優秀賞を受賞した『Picnic』の草間祐貴監督に伺いました。
草間裕貴監督
『Picnic』
『Picnic』
草間祐貴/03:12/日本/アニメーション/2021
【あらすじ】
天気の良い日はさわやかな原っぱでピクニックでもしたいものです。ウサギのバニーも、ぽかぽかな日和に誘われてピクニックにやってきました。さて、ここらでお昼ご飯にしますか。こうしてバニーの災難な一日が始まりました。
①ショートフィルムをはじめて作ったのは何歳の時でしょうか?処女作の作品名と内容を教えてください。
22歳で作った「Picnic」が初めて手掛けたショートフィルムです。
3DCGアニメーションの勉強を始めてから、スキルアップのために5~20秒程度の短い単発のアニメーションを制作して練習していました。「Picnic」はその結晶として、学生生活の最後に制作した作品です。ピクニックにやってきたうさぎのバニーが次から次へとハプニングに直面する物語で、誰でも楽しめる作品になっていると思います。
②長編にはないショートフィルムの魅力はどんな点にあるとお考えですか?
短い分、要点が絞られてわかりやすく簡潔に作られていることだと思います。
また、ちょっとした時間にあまり身構えることなく鑑賞できるというカジュアルさに加え、作者が短い尺の中で最低限の内容を最大限に伝えられるように、緻密に構成することで生まれる満足感や密度の濃さも、ショートフィルムの魅力だと思います。
『Picnic』
③SSFF & ASIA 2021 出品作品『Picnic』を制作した背景と、こだわった点を教えてください。
アニメーションを勉強する過程でジェスチャーの雄弁さを知り、セリフをいれずに動きだけで状況や感情を伝えることで、言語や年代の壁を越えて誰でも楽しめる作品にすることを目標として制作しました。
セリフを入れないとなると、行動の理由や場面転換のきっかけを表現することが難しくなります。ですが、鑑賞者に疑問を持たせて退屈な印象を与えてしまわないようにしつつ、わかりやすすぎて飽きてしまわないようにもしなければなりません。そのためにシナリオ構成やストーリーボードを作成する段階で多くの時間を費やして推敲を重ね、「誰でも楽しめる作品」を追究しました。
④SSFF & ASIA 2021 で受賞をしたご感想は?
アニメーションで表彰されるのが初めてだったので、自分の勉強してきたことが評価されてうれしかったです。自分の自信になるとともに、制作意欲に拍車がかかりました。
また、受賞をきっかけにより多くの方にこの作品を届けることができ、多くの感想をいただけたことも大きな収穫でした。
『Picnic』
⑤コロナ禍で制作活動にはどんな影響がありますか?また、コロナ禍で生じる制約に対してどのように取り組んでいらっしゃいますか?
3DCGアニメーションの場合、映像制作自体は家にパソコンさえあれば一から十まで完結するのが強みです。外出が抑制される社会でもとくに制限を受けることなく制作を進められます。
ただ、外出が制限されることでリサーチの選択肢が狭まったり発想のきっかけに出会えなかったりはするので、映画や時事ニュースなどから経験や情報を意識的にインプットして補っていけたらよいかと思います。
⑥今後作ってみたい作品や、取り組みたいテーマはありますか?
自分一人では労力が大きくなってしまう作品を、複数人で協力して制作したいです。
自分は背景の知識が薄かったり、キャラクターを複数体制作する気力がなかったりと、なにかとすべてを一人でやりきるには厳しい点が多いので、人と協力することでより説得力のあるアニメーション作品を制作出来たらいいなと思います。
作りたいと思っている特定のテーマやストーリーは現段階ではありませんが、鑑賞者の想像力を駆り立てるような、実写ではなくアニメーションである意味を見出せるような作品を作りたいと思っています。
草間裕貴
神奈川県出身。2021年に武蔵野美術大学造形学部映像学科卒。
卒業制作作品の短編アニメーション「Picnic」がSSFF & ASIA 2021 のU-25部門で優秀賞受賞。
大学卒業後、フロリダのSteamroller Studiosに3DCGアニメーターとして所属。
Writer:BSSTO編集部
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