国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル & アジアと連携して、国内外のショートフィルムを紹介しているBrillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE。本連載では、一人ずつショートフィルム作家をご紹介しています。長編映画やテレビドラマ、CMやMVで活動している方も多いですが、そんな作り手たちも、あえてショートフィルムを撮り続けています。作り手としてショートフィルムのどんな点に魅力を感じているのでしょうか?6回目の今回は、SSFF & ASIA 2021 スマートフォン 映画作品部門 supported by Sonyで優秀賞を受賞した『viewers:1』の針谷大吾監督、小林洋介監督に伺いました。
針谷大吾監督&小林洋介監督
『viewers:1』
『viewers:1』
針谷大吾&小林洋介/04:33/日本/SF/2021
【あらすじ】
人類に何かあった、少し先の未来。滅びた街をさまよいながら、たった一人の視聴者にむかって孤独に配信を続ける男がいた。
①ショートフィルムをはじめて作ったのは何歳の時でしょうか?処女作の作品名と内容を教えてください。
針谷
初めて作ったのは高校生の時です。ちゃんとしたタイトルはおそらくつけておらず、内容はアクションものだったと思います。当時クラス演劇で殺陣が多い芝居の演出をしており、その流れでほとんどアクションだけの短編のようなものを作っていました。
ちなみに洋介くんとは大学以来、各々の作品を手伝ってもらったり手伝ったりしてきましたが、監督として共同で作ったのは2018年の『スカイツリーの惑星』が最初です。ある日突然世界各所にスカイツリーが出現するというだけの作品です。
小林
中学2年生の時「総合的な学習の時間」で美術の先生に色々教わりながら「ウルトラQ」のパロディを作ったのが最初です。
ゴキブリ男がひたすら追いかけてくる、という内容の3分ほどのもので、タイトルは『ウルトラG』(ロゴをパッと見ると”Q”だが、よく見ると”G”になっている)でした。なんというか、のびやかですね。
②長編にはないショートフィルムの魅力はどんな点にあるとお考えですか?
針谷
ワンアイデアさえあれば、それだけで押し切れもするのが大きな魅力の一つだと思います。長編だと色々考えているうちに当初やりたかったものからどんどんズレていくこともあるので…。ショートフィルムの方がやりたいことをストレートに表現しやすいです。また、尺が短い分、観る側が構えずに観られるというのも魅力ではないでしょうか。
小林
作るにも観るにもハードルが低いことでしょうか。小さな種からでも形にしやすく、ふと思い立った時に観やすい。それでいてひとつひとつの画や場面の打撃力は長編と等しいのが良いですよね。
『viewers:1』
③SSFF & ASIA 2021 出品作品 『viewers:1』を制作した背景と、こだわった点を教えてください。
針谷
そもそもはコロナ禍で映像制作が難しい中で全編リモートで作ろうとスタートした企画です(SSFF & ASIA 2021 に出したバージョンは、監督2人+役者のみで行った追加撮影シーンを加えています)。役者の自撮りのカットと、監督が撮ったカット、地方に住む友人に頼んで撮ってもらったカットを組み合わせているのですが、その上で、誰でも簡単にある程度きれいな映像を撮れるスマートフォンというツールは不可欠だったと思います。
小林
企画開始時はリモート制作前提だったので、現実問題として撮影をなるべく簡単にする必要があり、スマートフォン撮影+単独キャラの自撮り+やりたいこと(SF)、という三つのお題から企画を始めました。
また、お約束や見立てではなく観ていて”信じられるSF”が作りたかったので、作品への入り口として実際にスマートフォンで撮影するというのは外せない要素でもありました。
④ SSFF & ASIA 2021 で受賞をしたご感想は?
針谷
このような賞に選んでいただき、またたくさんの方に観ていただいて本当に嬉しく思っています。
小林
日ごろ仕事でも映像を作ってはいますが、お客さんの反応や評価を直接受ける機会は少ないので、多くの人に観ていただけて、そして評価していただけたことは本当に嬉しいです。ありがとうございます。
『viewers:1』
⑤コロナ禍で制作活動にはどんな影響がありますか?また、コロナ禍で生じる制約に対してどのように取り組んでいらっしゃいますか?
小林
体調管理・現場のリスク管理など悩ましい部分はありますが、仕事の現場はルールがすっかり浸透して、もはや慣れてきた感があります。
リモート打合せが増えたことも良し悪しですが、それによって遠方に住むスタッフと仕事をしやすくなったのはとても良いことだと思っています。『viewers:1』でも遠方の知人に素材撮影を頼んでいます。
⑥今後作ってみたい作品や、取り組みたいテーマはありますか?
針谷また2人で面白いSFが作れたらと色々画策しています。
小林怪獣映画がつくりたいです。
『viewers:1』
針谷大吾・小林洋介
学生時代に出会い、映画サークルで自主映画を制作。 大学卒業後は、針谷はテレビ番組、小林はCMを主に制作。 仕事の合間を縫って、細々とSF短編の自主制作をつづける。
Writer:BSSTO編集部
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