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Nov. 27, 2021

【Creator's File】File 11: 真利子哲也 / Tetsuya Mariko
映画「昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-」監督を紹介

国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)と連携して、国内外のショートフィルムを紹介しているBrillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE。本連載では、一人ずつショートフィルム作家をご紹介しています。
今月は特別編として、劇場公開中のオムニバス映画「昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-」の監督をご紹介します。今回はGENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太氏が主演する「COYOTE」の真利子哲也監督にお話を伺いました。

※CINEMA FIGHTERS projectとは
作詞家 小竹正人の詞の世界観を脚本、映像(ショートフィルム)化。 新進気鋭の監督や著名な監督をむかえ、主演キャストにLDHメンバーが参加、EXILE HIROがエグゼクティブプロデューサー、SSFF & ASIA代表の別所哲也が企画・プロデュースでショートフィルムを製作する。LDH × SSFF & ASIAがタッグを組み今回で4段目となるプロジェクト。

真利子哲也監督

「COYOTE」
<監督>
真利子哲也
<出演>
片寄涼太、ステファニー・パーク、藤井武美、板倉武志
<主題歌>
“サクライロ” 片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)
<ストーリー>
晴人(片寄涼太)はオリンピックのチケットを買いにシカゴから突然日本に帰国する。恋人のハナ(Stephenie Park)は驚くが、二人の仲は良好だ。そんな中、新型コロナによる異変は起こった。ハナの所属する人形劇団の公演は中止になり、二人の愛犬・サーヤが野生のコヨーテに殺されてしまう。一方晴人は幼馴染のマイ・ケンタ夫婦(藤井武美・板倉武志)の家を訪ねる。緊急事態宣言が発表されるが、晴人はその事を知らないまま。その夜、ケンタたちとバカ騒ぎをする晴人に傷心のハナから電話がかかってくるが、晴人は彼女の様子に気が付けずにいた。

「サクライロ」ミュージックトレーラー

1 初めて映画を作ったのは何歳の時でしょうか?処女作の内容を教えてください。

20歳、短編映画です。その当時、すでに斜陽だった8mmフィルムを愛好していて、デジタルビデオカメラの撮影の仕方や効果が掴めていなかったので、パソコンの編集含めて勉強のため、意図もなく撮影したものをまとめました。そんな方法だったのでストーリーはなくて、むしろその「ストーリーがない」ということや、虚構と現実を主題にしました。

2 長編にはないショートフィルムの魅力はどんな点にあるとお考えですか?

色々なショートフィルムがあるので一概には言えないですが、必ずしも物語に依存せず、作り手の描きたいことに挑戦できるのは一つの魅力だと思います。

「COYOTE」より

3 「CINEMA FIGHTERS project」のコンセプトである、詞×音楽×映像の掛け合わせについて、こだわった点を教えてください。

主演の片寄涼太さんが歌う「サクライロ」、その曲がラストに流れるということは、観る人にとって片寄さんが演じる晴人の物語とサクライロの世界観がリンクすることが重要だったので、アメリカ人の脚本家と歌詞の解釈を話し合ってから、脚本の執筆を進めました。
コロナによって世界が急変したので、それも踏まえて脚本を一から書き直したのですが、それができたのもサクライロが軸としてあったからだと思います。コロナ禍のシカゴに単身渡ってアメリカのスタッフと撮影してきて、その後に片寄さんは東京で遠く離れたヒロインとのオンラインでの英語の芝居をしました。思い返せば短編ながら大変なことばかりだったかもしれませんが、スタッフ・キャストが国を超えて試行錯誤しながら様々な挑戦をさせてもらって、映画であることを楽しみました。

4 コロナ禍で制作活動にはどんな影響がありますか?また、コロナ禍で生じる制約に対してどのように取り組んでいらっしゃいますか?

友人知人との交流や、映画や音楽などがリモートに置き換わって2年近く経ちました。オンラインでできることや、ある部分は置き換えられないことが体感としてわかってきた気がします。映画の場合、フィルムがデジタルに置き換わったことで制作や観る環境が変わって、さらに今ではコミュニケーションそのものが変容したことに対応するのは時間がかかりますが、考えても疲れるので、これまでの世界も知っている記憶を有意義に考えたいです。

5 今後作ってみたい作品や、取り組みたいテーマはありますか?


これまで、幾つかの子どもを主体とした短編映画を作ってきました。その中には私は言語すらわからないマレーシアでの撮影もありました。制作現場でも映画を観てくれる観客に対しても、そんな言語の問題を飛び越える可能性が子どもにはありました。長編映画では子どもが主体の映画になかなか挑戦できませんが、頭の片隅にいつもあります。

真利子哲也(まりこ・てつや)

1981年、東京生まれ。8ミリフィルムの短編『極東のマンション』『マリコ三十騎』が高い評価を受ける。東京藝術大学大学院映像研究科の修了作品『イエローキッド』が劇場公開。『ディストラクション・ベイビーズ』はロカルノ国際映画祭で最優秀新進監督賞、ナント三大陸映画祭で銀の気球賞、ヨコハマ映画祭6部門受賞など。『宮本から君へ』は日刊スポーツ映画大賞、ブルーリボン賞、高崎映画祭で監督賞受賞。最新作は『MAYDAY』。

『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』

詩と音楽、映像を一つに融合したプロジェクトの第4弾。今回は6篇全てにGENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーが参加。SABU「BLUE BIRD」はドジな兄と陽気な弟とのかけがえのない絆を、新城毅彦「真夜中のひとりたち」はそれぞれ大切な人を喪失した男女が歩く東京の一夜を、山下敦弘「言えない二人」は幼馴染に想いを伝えられない男のもどかしい気持ちを、森義隆「怪談 満月蛤坂」は美しい女の幽霊に愛された料理人の怪異を、真利子哲也「COYOTE」は新型コロナ禍で急変する世界を、久保茂昭「水のない海」は他人との関わりを避けてきた青年と中国人留学生との出会いを、監督それぞれの個性あふれる物語が展開する。
2021年11月26日全国公開
映画オフィシャルサイト http://www.akakuaoku.toeiad.co.jp/index.html

Writer:BSSTO編集部

「水曜夜は、わたし時間」
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毎週水曜日にショートフィルムをオンライン配信。常時12本ほどを無料で鑑賞できます。
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