国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル & アジアと連携して、国内外のショートフィルムを紹介しているBrillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE。
本連載では、ショートフィルム作家をおひとりずつ紹介しています。長編映画やテレビドラマ、CMやMVで活動している方も多いですが、そんな作り手たちも、あえてショートフィルムを撮り続けています。作り手としてショートフィルムのどんな点に魅力を感じているのでしょうか?
3回目となる今回は、監督作品『すくってごらん』が3月12日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショーされる真壁幸紀さんに訊きました。
真壁幸紀監督
①ショートフィルムをはじめて作ったのは何歳の時でしょうか?処女作の作品名と内容を教えてください。
-18歳の高校3年生の時です。当時はショートフィルムを作るという感覚はなく、頑張って作ったものの長さが20分くらいで、結果的にショートフィルムになっていました。『ピンチヒッター~青春暴走~』というタイトルで、野球部の高校生の、友情を描いたコメディーです。
②ショートフィルムで代表作を1本あげるとしたら?それはなぜ?
-『HOME AWAY FROM HOME』(2017年)です。初めて海外のキャストの方とお仕事をして、非常に刺激になりました。特にイレーヌ・ジャコブさんとのクリエイティブは、濃密なもので、彼女の物作りに対する積極的な姿勢、アイデア、映画愛を受けて、国内に留まらず、もっと視野を広く、世界に向けて発信する映画作りをしたいと強く思わされた作品です。
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『HOME AWAY FROM HOME』
■制作年:2017
■上映時間:12:36
■あらすじ:
タクシー運転手、少女、バックパッカーはそれぞれの故郷であるアフリカ、ヨーロッパ、東南アジアに繋がる幻想的な東京を旅する。
その旅には、アキコという日本人の女性がいる。
一方、パリにいる作家は、東京で出会ったアキコの事を思い出し、執筆を始めた。
■出演:
ジェームス・ジラユ 阿部純子 ハーシェル・ペッパース エリザベス・セイモア & イレーヌ・ジャコブ
国内外の多くの人々が訪れたくなる「東京」をテーマに、国際短編映画祭 SSFF & ASIA 「Cinematic Tokyo部門」で特別上映するショートフィルムを制作する「Tokyo Cine-magic」プロジェクトの作品として製作されました。
公式WEBサイト
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本編映像(14か国語の字幕付き)
③長編にはないショートフィルムの魅力はどんな点にあるとお考えですか?
-日本で作ることを前提に挙げるなら、ショートフィルムは長編と異なり、興行ではないので、より”強い”表現が可能です。題材はもちろん、やってみたいキャスト、使ってみたい機材を実験的に使う事のハードルは、長編より全然低く、独創的な作品が生まれやすいと思います。
④今後作ってみたい作品や、取り組みたいテーマはありますか?
-『HOME AWAY FROM HOME』もそうでしたが、日本人の視点から、海外の文化・人を描くような作品に取り組みたいです。特に台湾・ベトナム・インドなどの国に興味があり、現地での撮影も行いたいです。
(C)2020映画「すくってごらん」製作委員会 (C)大谷紀子/講談社
⑤ 2021年3月12日(金)から、大谷紀子さんの人気コミックを原作とした長編映画『すくってごらん』が公開されます。本作でこだわったポイントを教えてください。
-配信全盛のこの時代に、映画館でお金を払って見る価値のあるエンターティメント映画とは?という事を念頭に考えて作りました。その一つの答えとして、『すくってごらん』は音にこだわった映画にしました。
ジャンルとしてはミュージカルと言っても良いと思いますが、オリジナル劇中歌15曲を制作し、スマホやテレビではなく、映画館の大音響でコンサートのように体感してもらう映画を目指しました。
(C)2020映画「すくってごらん」製作委員会 (C)大谷紀子/講談社
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『すくってごらん』
■制作年:2021
■上映時間:92分
■あらすじ:
大手メガバンクのエリート銀行マン・香芝誠は、些細な出来事がきっかけで左遷され、荒んだ気持ちを抱えて東京本社から片田舎の町へやってきた。そこで偶然かつ運命的に、金魚すくいの店を営む美女・吉乃と出会い、一目ぼれをする。持ち前のネガティブな性格と左遷のショックから、香芝は心を閉ざし仕事だけを生きがいにしようと心に決めながらも、吉乃の事が頭から離れない。何とかお近づきになろうとするが、秘密を抱える吉乃の心もまた閉ざされたままだった。果たして、香芝は金魚のように彼女の心もすくうことはできるのか―?
■出演:
尾上松也 百田夏菜子 柿澤勇人 石田ニコル
矢崎広 大窪人衛 清水みさと 辻本みず希 北山雅康 鴨鈴女 やのぱん 竹井亮介 川野直輝 笑福亭鶴光
3月12日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
公式HP: sukuttegoran.com
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真壁幸紀 / Yukinori Makabe
1984年東京都出身。株式会社ROBOT所属。
2012年にショートフィルム『THE SUN AND THE MOON』が映画監督ウォン・カーウァイとルイ・ヴィトン主催の映画祭「Journeys Awards」でグランプリを受賞。
その後、2015年に『ボクは坊さん。』で長編映画監督デビューし、海外の映画祭で注目を浴びる。
2018年には塚田僚一(A.B.C-Z)を主演、SnowManをその共演に向かえた映画『ラスト・ホールド!』や、テレビドラマ『電影少女』シリーズの監督を務めた。
2021年3月12日 長編映画3作目となる『すくってごらん』を公開。
Writer:BSSTO編集部
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