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Nov. 19, 2021

【Creator's File】File8: 森義隆 / Mori Yoshitaka
映画「昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-」監督を紹介

国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)と連携して、国内外のショートフィルムを紹介しているBrillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE。本連載では、一人ずつショートフィルム作家をご紹介しています。
今月は特別編として、2021年11月26日に劇場公開されるオムニバス映画「昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-」の監督をご紹介します。一人目はGENERATIONS from EXILE TRIBEのパフォーマー、中務裕太氏が主演する「怪談 満月蛤坂」の森義隆監督にお話を伺いました。

※CINEMA FIGHTERS projectとは
作詞家 小竹正人の詞の世界観を脚本、映像(ショートフィルム)化。 新進気鋭から著名な監督をむかえ、主演キャストにLDHメンバーが参加、EXILE HIROがエグゼクティブプロデューサー、SSFF & ASIA代表の別所哲也が企画・プロデュースでショートフィルムを製作する。LDH × SSFF & ASIAがタッグを組み今回で4段目となるプロジェクト。

森義隆監督

「怪談 満月蛤坂」
<監督>
森義隆
<出演>
中務裕太、山田真歩、久保井研、筒井真理子
<主題歌>
“散る散る満ちる” 伶
<ストーリー>
老舗料亭「松月楼」の若手料理人・良介(中務裕太)は、ある夜蛤坂で見知らぬ女と出会う。妖艶な色香の女(山田真歩)と良介は一夜を共にする。それから、良介の体に奇妙な変化が訪れた。魚の臭いが急にきつく感じ厨房の仕事ができない。さらに三週間後、良介の腹はまるで妊婦のように膨れ上がる。困り果てた良介は蛤坂であの女を待つが、現れた女の腹もはち切れんばかりに膨れていた。松月楼の女将(筒井真理子)は、その女は200年前料亭にいた、たみという仲居の幽霊だと良介に告げる。

「散る散る満ちる」ミュージックトレーラー

① はじめて映画を作ったのは何歳の時でしょうか?処女作の内容を教えてください。

大学3年生のときに、16ミリフィルムを使って30分くらいの短編を撮りました。『畳の桃源郷』というタイトルで、うだつのあがらない男三人の同居生活に、主人公の元カノが闖入してきて日常をかき乱すが、結局たいして何も変わらず、うだつはあがらないままで……といった内容。当時の自分自身が感じていた仲間と溶け合うようなモラトリアムの幸福感と、そろそろ個人に戻って腰を上げなきゃという焦燥感のようなものを描いた映画です。

② 長編にはないショートフィルムの魅力はどんな点にあるとお考えですか?

今回の「怪談満月蛤坂」が処女作以来の短編だったのですが、いままさに自分がやってみたいテーマ、表現、チャレンジに即座にアクセスできる点はとても魅力的でした。あと気軽に脚本、監督、編集も担える点も。好きなスタイルなのですが、なかなか商業映画やドラマで、やりきるのは難しく、テレビのドキュメンタリーなどでしか採用してきませんでした。短編とはいえ、久しぶりに劇映画でパーソナルなスタイルでの映画作りが試せたのは、とても楽しかったし、刺激になりました。

「怪談満月蛤坂」より、中務裕太・山田真歩

③ 「CINEMA FIGHTERS project」のコンセプトである、詞×音楽×映像の掛け合わせについて、こだわった点を教えてください。

主題歌としていただいた「散る散る満ちる」の詞も音楽も伶さんの歌声も、とても心に染み渡るものだったので、とにかくエンドロールに流れる楽曲そのものが、映画の主人公でありクライマックスであると考えながら作劇しました。物語自体は、他愛もない幽霊小噺なのですが、楽曲と相まったときに、ひとつの世界観が完成してエモーションが生まれるようなイメージを目指しました。

④ コロナ禍で制作活動にはどんな影響がありますか?また、コロナ禍で生じる制約に対して
どのように取り組んでいらっしゃいますか?

何よりも、世の中の価値観や社会の構図が加速度的に変化していることが一番大きな影響ですかね。そのなかで、自分なりの視座を見失わずに、思考しつづけられるようにいたいなあと思います。5年前に地方移住したので、ローカルにいること、ドキュメンタリーも撮れることを生かして、地方での瞬発力の高い制作にも取り組み始めています。

⑤ 今後作ってみたい作品や、取り組みたいテーマはありますか?

時代モノはやりたいです。中近世に限らず、古代から明治まで日本人や人間の根源的な精神を見つめるような活劇にアプローチしたいなあと。また、厄年を無事に乗り切った。上には親世代、下には子供世代がいる今だからこそ持てる視点で、青春、家族といったオーソドックスなテーマにも取り組みたいと思っています。

森義隆(もり よしたか)

1979年生まれ。テレビドキュメンタリーの演出を経て、08年『ひゃくはち』で映画監督デビュー。同作で、新藤兼人賞銀賞、ヨコハマ映画祭新人監督賞を受賞。12年『宇宙兄弟』でプチョン国際ファンタスティック映画祭グランプリ、観客賞をダブル受賞。16年『聖の青春』で高崎映画祭最優秀監督賞ほか映画賞を多数受賞。ほかに『パラレルワールド・ラブストーリー』(19年)などがある。現在、金沢に移住して2拠点で活動。同地でのドキュメンタリーやドラマ制作も積極的に行っている。

『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』

詩と音楽、映像を一つに融合したプロジェクトの第4弾。今回は6篇全てにGENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーが参加。SABU「BLUE BIRD」はドジな兄と陽気な弟とのかけがえのない絆を、新城毅彦「真夜中のひとりたち」はそれぞれ大切な人を喪失した男女が歩く東京の一夜を、山下敦弘「言えない二人」は幼馴染に想いを伝えられない男のもどかしい気持ちを、森義隆「怪談 満月蛤坂」は美しい女の幽霊に愛された料理人の怪異を、真利子哲也「COYOTE」は新型コロナ禍で急変する世界を、久保茂昭「水のない海」は他人との関わりを避けてきた青年と中国人留学生との出会いを、監督それぞれの個性あふれる物語が展開する。
2021年11月26日全国公開
映画オフィシャルサイト http://www.akakuaoku.toeiad.co.jp/index.html

Writer:BSSTO編集部

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