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Oct. 08, 2021

【Creator's File】~ショートフィルムクリエイターを紹介⑤〜安井祥二 / Yasui Shouji

国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル & アジアと連携して、国内外のショートフィルムを紹介しているBrillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE。本連載では、一人ずつショートフィルム作家をご紹介しています。長編映画やテレビドラマ、CMやMVで活動している方も多いですが、そんな作り手たちも、あえてショートフィルムを撮り続けています。作り手としてショートフィルムのどんな点に魅力を感じているのでしょうか?5回目の今回は、SSFF & ASIA 2021 オフィシャルコンペティション ジャパン部門にノミネートされた『からっぽのシュークリーム』を監督した安井祥二監督に伺いました。

安井祥二監督

『からっぽのシュークリーム』

『からっぽのシュークリーム / Empty Cream Puffs』
安井祥二/22:18/日本/ドラマ/2020

【あらすじ】
子どものいない夫婦、雄太と歩美。 ある日、歩美はついに子どもを授かったと雄太に告げる。しかし、検査に訪れていた病院で、雄太には子どもを授かることのできない障がいがあることが判明する。

・ノミネート歴
渋谷tanpen映画祭climaxat佐世保 First Select
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2021 (日本)

①ショートフィルムをはじめて作ったのは何歳の時でしょうか?処女作の作品名と内容を教えてください

大学1年生の、18歳の時です。映画制作のサークルメンバーで、とにかく何か自分たちで撮影しようとして、Hi8で撮影しました。『遭遇』というタイトルで、一人暮らしの男が家に帰ると宇宙人を名乗る男がいるという内容の映画です。
振り返ると恥ずかしい作品ですが、当時は全力で制作しましたし、仲間たちと何かを作りきる事の感動を経験できた事は大きいですね。

②長編にはないショートフィルムの魅力はどんな点にあるとお考えですか?



伝えたい事に対して、思い切って表現できる所だと思います。長編の場合は、それだけの長尺を観てもらう事を想定して構成しないといけませんが、ショートフィルムの場合は短いので、一点突破が出来るイメージがあります。

『からっぽのシュークリーム』

③SSFF & ASIA 2021 出品作品『からっぽのシュークリーム』を制作した背景と、こだわった点を教えてください。

僕自身が不妊治療を行った経験から物語を書きました。物語の主人公と同じで、僕の体に問題があり子どもが出来ませんでした。なのに、どこまでも「自分の子ども」を求め続ける自分に対して「自分の子ども」という概念がどこにあるのが、どうしてそこまで「自分の子ども」にこだわるのかを考えはじめた事から企画が始まりました。本当は長編で書きたいと思ったのですが、作品作りのブランクが長かったため、一旦短編で検証的に書いてみました。

こだわったのは、どうやったら主人公と同じぐらい窮屈な感情を観ている人にも体験してもらえるかという所でしょうか。お芝居の演出はもちろんですが、カメラワーク・編集・音楽をクライマックスに向けて集中させました。この点はどんな作品も同じようにこだわると思います。
この作品に関して言えば、シュークリームだけはリアルに何個も食べさせました(笑)



④ SSFF & ASIA 2021 で受賞をしたご感想は?

自分が表現したい物を作ってもいいのだと、少し認めてもらえた気分になりました。自己満足の映像ではなく、ちゃんと誰かに伝わる作品が作れたのだなと実感できました。

また今回、多くの人に観ていただく機会ができたのが非常に嬉しかったです。僕は地方で制作を行っているので、多くの方に観ていただく機会を自分ではなかなか作ることが出来ません。ですが、今回受賞したお陰で多くの方の感想に触れることができたので、非常に良い経験をさせて頂いています。
でも、授賞式では特に表彰されなかったし、コロナ禍のせいで他の監督と交流する事もできなかったので、ちょっと寂しかったです(笑)

⑤コロナ禍で制作活動にはどんな影響がありますか?また、コロナ禍で生じる制約に対してどのように取り組んでいらっしゃいますか?



私は岡山で撮影を行ったので、キャストが東京からくることに対して厳しい意見を言われる事がありました。
ロケ地にはかなり負担をかけましたが、通常よりも長時間貸切させていただけるところで、協力してもらって撮影をさせていただきました。お店やオフィス、工事現場などは、お客様や施設スタッフが一切居ない状態でロケを行うために休業日に合わせて撮影をしたので、日程の調整には苦労しました。

⑥今後作ってみたい作品や、取り組みたいテーマはありますか?

「不妊」や「子ども」といったテーマで取り組みたいと考えています。このテーマをモチーフにしながら、笑いのある、温かい映画作りを目標にしたいと思っています。

安井祥二

1982年、岡山県生まれ。映像ディレクター。TVCMや企業のプロモーション映像を制作しながら自主映画制作を試みる。

Writer:BSSTO編集部

「水曜夜は、わたし時間」
シネマな時間は、あなたがあなたに戻る時間。
「ブリリア ショートショートシアター オンライン」は、毎日を忙しく生きる社会人の皆さんに、映画のあるライフスタイルをお届けします。
毎週水曜日にショートフィルムをオンライン配信。常時10本ほどを無料で鑑賞できます。
https://sst-online.jp/theater/

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