ログイン
MAGAZINE
INFORMATION
Nov. 16, 2022

【Cinematic Event】「村上春樹 映画の旅」早稲田大学演劇博物館企画展

ブリリア ショートショートシアター オンライン では本イベントのご紹介のみ行っております。本イベントについてのお問い合わせは主催者までお願いします。

**********************************

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(東京都新宿区)では、2023年1月22日まで「村上春樹 映画の旅」を開催しています。

キャリアを通じて繰り返し映画に言及してきた小説家・村上春樹さん。
村上さんがよく通ったという演劇博物館を舞台に、幼少期や高校生まで通った映画館や学生時代に読んでいた映画のシナリオ、小説やエッセイに繰り返し登場する映画の数々、そして小説を映画化した作品に関するスチル写真やポスター、台本など数多くの資料が展示されています。

村上さんがこれまで見てきた映画をまるで旅の軌跡を辿るかのように振り返る構成はまさに村上さんと「映画の旅」をしている気分。
村上文学が喚起するイメージの豊かさだけでなく、小説を読んできた、また、映画を見てきた人たちにノスタルジーと共に、自身の遷りいく新たな視点に気づかされる旅となるかもしれません。

第1章:映画館の記憶と、第2章:映画との旅

DVDもサブスクも存在しなかった時代、映画館で見るしかなかった映画は「一期一会」であり、村上さんにとって、暗闇の中でのみ遂行される特別なものだったと、展示冒頭でメッセージが掲載されています。

その特別感が村上春樹さんの小説や価値観にどう影響を与えてきたのか。第1章では、村上さんにとって人生の一部でもある「映画館」について紹介しています。

幼少期に父親に連れられて神戸や西宮で見た西部劇や戦争映画、高校生になってからは遊びやデートでハリウッドの娯楽映画からヨーロッパの芸術映画まで。
そして大学時代にはアメリカン・ニューシネマ、フランスのヌーヴェル・ヴァーグ、東映の任侠映画や東宝のアクション映画など。様々な映画との出会いを旅します。

『イージー・ライダー』プレスシート(早稲田大学演劇博物館所蔵)

第2章では、村上さんがいかに映画と同時代的に生きてきたか、彼がどんな映画作品を見てきたのか、そしてそれについてどんなことを述べてきたかを紹介します。それらは村上小説の世界により深く足を踏み入れることのできる、キーになっているようです。

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』では、主人公の「私」が「自己を改革するための訓練」として『イージー・ライダー』なんて三回も観た」と語る場面があります。
実際に『イージー・ライダー』を三回見たという村上さんと「私」が重なりあい、この展示を見た後に小説をもう一度読み返してみたくなる、そんなポスターや映像が並びます。

第3章:小説のなかの映画

現時点での最新作『騎士団長殺し』に至るまで、村上さんの長編小説において、映画作品が言及されなかったことは一度もないといいます。
第3章では、村上さんの映画への言及がどのような意味をになっているのかを探っています。

映画のタイトルや俳優の名前などを、自分が知っていたり見たことがあったりすると、読者はそれぞれの映画のイメージを想起します。
『1973年のピンボール』に登場する『マルタの鷹』。『ノルウェイの森』に登場する『サウンド・オブ・ミュージック』。『ダンス・ダンス・ダンス』に登場する『大脱走』・・・

登場人物の思考や会話の中にふと登場するそれらが、村上さんの小説世界の風景をどう作っているのか、小説と映画の世界を行き来する「旅」を体験できます。

第4章:アメリカ文学と映画と、第5章:映像化される村上ワールド

村上さんは小説やエッセイ等の執筆と並行して、『マイ・ロスト・シティー』や『グレート・ギャツビー』に代表されるアメリカ文学の翻訳も手掛けてきました。村上さんを深く魅了してきたアメリカ文学と映画。
第4章と第5章では、英語の小説を日本語に「翻訳」すること、そして小説から映像化される「翻案」の共通点を探り、「言語とは何か」それを移し替えるとはどういう営みなのかを紹介していきます。

第5章、展示の最後には、今年アカデミー賞やカンヌ映画祭での受賞で世界的な注目をあびる『ドライブ・マイ・カー』のロードトリップを疑似体験できるブースが登場します。主人公、家福悠介(西島秀俊)が運転する赤のサーブ900の後部座席に乗り、妻が朗読するチェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』の一節を聞きながら、「映画の旅」に思いを馳せることができます。

演劇博物館では展示会図録(フィルムアート社より刊行)も販売中。

早稲田大学演劇博物館 2022年度秋季企画展「村上春樹 映画の旅」

会期:10月1日(土)~2023年1月22日(日)
開館時間:10:00~17:00(火・金は19:00まで)
休館日:11月23日(水・祝)、12月7日(水)、26日(月)~2023年1月9日(月)、18日(水)
会場:早稲田大学演劇博物館2階企画展示室
主催:早稲田大学演劇博物館・演劇映像学連携研究拠点
協力:早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)
入館無料
オフィシャルウェブサイト:https://www.waseda.jp/enpaku/ex/16084/

Writer:BSSTO編集部

「暮らしにシネマチックなひと時を」
シネマな時間は、あなたがあなたに戻る時間。
「ブリリア ショートショートシアター オンライン」は、毎日を忙しく生きる社会人の皆さんに、映画のあるライフスタイルをお届けします。
毎週金曜日にショートフィルムをオンライン配信。常時12本ほどを無料で鑑賞できます。
https://sst-online.jp/theater/

Share

この記事をシェアする

Related

0 0
記事一覧へ