京都の町屋でインテリアコーディネート業を営むDECO-TE(デコ・テ)と申します。
このコラムでは映画のインテリアに焦点をあて、物語をより深く味わう体験を一緒に楽しんでいきたいと考えています。映画のセット、背景をつくる方々を「美術さん」とよびますが、インテリアコーディネーターが「こうありたい」という理想や未来に向かって部屋を作るのに対し、彼らは過去の蓄積が表出した姿を作り込みます。映画をみるときはおしゃれかどうかは関係なく、住人の人間性がダダ漏れているお部屋にキュンとします。
毎回その映画の空気感を感じられるようなアイテムもご紹介していきますので、お楽しみいただければ幸いです。
今年も桜の季節がやってきました!みなさまは堪能されましたか。
私は今年喜寿を迎える両親とともに台湾に行ってまいりました。せっかくなので京都の我が家と、神奈川に住む弟家族も誘い台北で待ち合わせ。総勢10名の大所帯で、台湾を満喫いたしました。台湾は近くて美味しくて、人がやさしい。素晴らしい場所でした。
さて今月のブリリア ショートショート シアターオンラインはエイプリルフールにちなんで「FOOLISH APRILー4月の嘘つきたち」特集です。実は4月1日は父の誕生日でもあります。小学生の私は「誕生日プレゼントだよ!」と書かれた空の箱を渡して「エイプリルフールー!」と極悪非道な行いをしておりました。嘘つきでごめんね。
オーストラリア出身の監督リンゼイ・マクドナルドは俳優でもあり、音楽、演技、執筆、デザインにわたる多彩な才能の持ち主なんだそう。『ひとりの晩餐 / Set menu』はある有名レストランが舞台。店内のインテリア(照明がとてもいい!)や衣装、独創的なお料理、さらに音楽の使い方も上手で、センスを感じさせる大人のショートフィルムです。
<ストーリー>
最後の夜に憧れのセットメニューを楽しもうと有名レストランを訪れたフランセス、しかしそのメニューは「カップルのためのセットメニュー」という理由で拒まれた。絶望の彼女は謎めいた見知らぬ人物と取引を交わし、料理だけでなく、静寂と孤独を手に入れる。だが、その夜の平穏には、思わぬ代償が潜んでいた——。
すべてが謎めいています。彼女がひとりできた理由、彼女にとって「最後の夜になる」意味、そこまでいっても店員が頑なにオーダーを受けつけない理由などなど。食事が始まると静けさの中で咀嚼する音だけが響き、クライマックスのデザートに向けて気持ちを高めます。彼女が払った代償とは?ぜひご覧ください。
Netflix『ドント・ルック・アップ』
ここ1ヶ月ほど、この映画が頭から離れません。2021年にNetflixオリジナルで配信されました。
<ストーリー>
レオナルド・ディカプリオ演じる天文学者ランドール・ミンディ博士と大学院生のケイト(ジェニファー・ローレンス)が、6ヶ月後に地球に衝突する可能性のある巨大彗星を発見する。彼らはその危険性を伝えようと奔走するが誰も彼らの警告に耳を貸そうとしない。衝突のその日まで時間だけが無為に過ぎていく…
Netflix『ドント・ルック・アップ』
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のアダム・マッケイ監督が本気で作った、壮大な風刺映画です。今までも彗星が衝突する『ディープ・インパクト』、小惑星が激突する『アルマゲドン』など地球の危機を描いた映画はありましたが、『ドント・ルック・アップ』が一番リアルに感じました。
彼らが地球滅亡の危機を最初に伝えたのはNASAの長官カルダー博士(ヘティエンヌ・パーク)、報告を受けた彼女はすぐさまホワイトハウスにふたりを呼び寄せます。大統領(メリル・ストリープ)の答えは「静観し、精査する」でした。ニュース番組に訴えるも、視聴者の関心は人気アイドル、ライリー・ビナ(アリアナ・グランデ)の不倫騒動。挙げ句の果てに実はNASAの長官は大統領の大口支援者で、「彼らのいうことは真実ではない」と裏切られてしまう。
Netflix『ドント・ルック・アップ』
とんでもなく恐ろしいことを描いているのにあくまでも風刺として成立させるために、同じ分だけコメディ要素が入ってきます。豪華なキャストたちが「どこかにいそうなキャラクター」を全力で演じています。『アルマゲドン』も作れるハリウッドが特撮技術を駆使して、彗星を爆破するロケット打ち上げシーンを本気で作ってます。
Netflix『ドント・ルック・アップ』
インテリアやファッションは色使いがとてもおしゃれでした。大統領の執務室は淡い水色、白、黄色の三色で構成されています。真っ赤なスーツがトレードマークの大統領の背景はマスタードに近い落ち着いたトーンのカーテン、暖色系の組み合わせがパワフルな彼女にぴったりです。一方で対面で座ってるミンディ博士(ディカプリオ)たちの背景は、壁の水色、ソファのブルー。同じ部屋でありながらうまくトーンを分けているのが上手です。
Netflix『ドント・ルック・アップ』
ちなみにホワイトハウスのインテリアは政権ごとにプロのインテリアデザイナーが入って決めるそうで、歴代政権で比べてみるとそれぞれの個性が感じられて面白いですよ。映画に出てくるホワイトハウスインテリアを見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
この映画を見ていると、人間って知りたいことしか信じない、ということがよくわかります。みんなが知りたくないことから目を背けることで、物事が悪い方向にしか進まない。映画のタイトルは『Don’t look up(見上げるな)』、上を見たら地球を破滅させる彗星(現実)が見えてしまうからダメなんです。歴然としたデータや事実があるのに、それよりもテレビや有名人がいうことを信じようとする。その方が楽だから。
Netflix『ドント・ルック・アップ』
(メリル・ストリープ)大統領が言ってました。
「今まで”世界が終わる”が何件あったと思う?」
わたしは、いま起こっていることがいずれ歴史の教科書にのるようなことなんじゃないかな、と思って暮らしています。これが杞憂であってほしい、風刺は笑えないと意味がありません。世界に平和が戻ることを願ってやみません。
映画のインテリアをみていると、ファブリックの多様さ、色のきれいさにうっとりしますよね。フジエテキスタイルは国内のメーカーの中でも特に色にこだわっているメーカーです。ファッショナブルなインテリアがお好きな方にもおすすめです!