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COLUMN
Feb. 12, 2020

【映画にみるファッション】『オリエント急行殺人事件』
-ファッションに正解はあるのか?-

コラム「映画にみるファッション」。今回は、名探偵ポアロの有名な謎解きミステリーを、ケネス・ブラナー、ペネロペ・クルス、ジョニー・デップ、デイジー・リドリーといった豪華共演陣で新たに製作した映画『オリエント急行殺人事件』を、ファッションの切り口でイベントクリエイターの菅原敬太氏に語って頂きます。

品格の正体とは?

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ミステリーの女王アガサ・クリスティー原作の「オリエント急行殺人事件」。舞台は1930年代のイスタンブールとパリの間を走るオリエント急行車内。
主人公の名探偵ポアロ(ケネス・ブラナー)は、エルサレムで事件を解決して休暇を取るはずが、イギリスでの事件解決の為にオリエント急行に乗車しています。

ピークドラペルのシングルジャケットに、ダブルブレステッドのオットベスト、インプリーツのツータックトラウザーズというオーセンティックであるけれど、他とは違うこだわりファッションで登場します。そして注目なのは、そのこだわりのディティールやシルエットそのままで生地違いのスーツを別日に着用しているのです。

 

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

当時は当然ながら既製品(プレタポルテ)の画一的なスーツは製造しておらず、スーツはテーラーでビスポーク(オーダーメイド)するしかなかった時代です。
現代でもビスポークテーラーでは、お客様とテーラーが互いに語り合い、お客様のサイズに合わせたスーツを創るのは当たり前で、それ以上にお客様のパーソナルが引き立つ「スタイル」を築くところに時間を割くものです。そして一度決めた「スタイル」は継続することで、お客様が自身の本物のスタイルに昇華させるものです。

ポアロも自身のお抱えテーラーとともに「スタイル」を築きあげたからこそ、ポアロというアイコンを構成する要素にファッションが主張するのではなく無理なく溶け込んでいるのです。そしてファッションだけでなく何事にもブレないスタイルある人物には、格が生まれ、それが品格と言われる物の正体です。

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

また、当時のオリエント急行の乗客は、上流階級や外交官、富裕層で、車内のインテリアも高級感溢れて、さながら走る高級ホテルのようです。だからこそ鉄道員の制服やコート、給仕人のホワイトジャケットに至るまで、上質で仕立ての良さを感じさせてくれます。

一流の乗客に対峙するサービスマンは、お客様から失礼のない品質を、サービスだけでなくファッションにも求められていたからこそ、オリエント急行にも格が生まれて、品格溢れる高級夜行列車という物が誕生したのだと認識させてくれます。

ファッションに正解はあるのか?

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

主人公のポアロ以外も自分のスタイルを感じさせてくれるファッションで登場しますが、画一的なルールやアイテム、ディティールの存在も確認できます。

例えば、男性はセットアップスーツにネクタイを着用、人前ではジャケットを脱がないや、女性の食事の席ではエレガントな範囲の露出など、性別関係ないところでは、屋外ではハットやヘッドアクセの着用、季節に合った素材の衣服など、もっと細部を見ていくとたくさんのルールを発見することができるのです。

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

では、このルールとは何でしょうか?
正解はTPOです。

Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)の頭文字の略語で、英語由来の外来語ではなく、日本人が考案した和製英語です。
T・PO3要素は、自分がどのような状況に置かれ、どのような服装や振る舞いが求められるのかを顧慮するためのキーワードとして使われます。

オリエント急行に乗車する人は、上流階級やそういう方にサービスを提供する一部の一般庶民のみです。だからこそ品格を落とさない為の暗黙の当たり前のファッションルールが存在しているのです。
それが日本ではTPOと称される“コト”であり、広義としてはドレスコードと言われるものが該当します。

ファッションは自由の象徴でもありますが、自分よがりの自由は相手を困惑させるだけではなく不愉快な気持ちにさせてしまいます。だからこそ暗黙のルールとして、ファッションにはTPOやドレスコードといったものが存在しますが、常にドレスコードを指定してもらえるわけでは当然ありません。
そういった時に、周りに配慮を「TPOをわきまえる」ということを意識する必要があるのです。

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ファッションに正解はあるのか?

よくこういう問が話題になることがありますが、私は「ファッションに正解はある!」と断言します。
それは、オリエント急行に乗車するすべての人が、ファッションの正解を見せてくれています。

ファッションの正解とは、品格を落とさない「TPOをわきまえたファッション」をするということなのです。

『オリエント急行殺人事件』ブルーレイ発売中

¥1,905+税

20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

Writer:菅原敬太(イベントクリエイター)

新製品発表会を中心とするPRイベントのプロデューサー。
キャリア20年を誇り現在も週1本ペースでPRイベントに携わり多忙を極めるも空き時間には「服」と「甘味」を求める「ファッショニスタ」であり「カンミニスタ」でもある。 「PR演出」「ファッショナブル プロモーション」を提唱し講演や講師としても活躍中。 文化服装学院 非常勤講師 Instagram: @sgwrkta
www.synchronicity.jp

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