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COLUMN
Jul. 30, 2019

【映画にみるファッション】『ボヘミアン・ラプソディ』
— 着飾ることを捨てることで生まれたファッション –

シネマチックなライフスタイルのヒントを様々な視点から紹介するコラム「Cinema for Life」。
今回は、2018年11月の公開から現在も劇場公開が続くロングラン大ヒット作品『ボヘミアン・ラプソディ』を、ファッションの切り口でイベントクリエイターの菅原敬太氏に語って頂きます。

戦い続けることでカリスマとしてのオーラを身に着ける

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『ボヘミアン・ラプソディ』は、伝説的ロックバンド「クイーン」のボーカリスト、フレディ・マーキュリーを主人公とした伝記映画。
カリスマバンドは時としてエキセントリックな言動を繰り返し、その度に周囲と軋轢を生みながらも世界を熱狂させてきました。
その中でもボーカルのフレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)は、唯一無二のカリスマでバンドを先導するフロントマン。
彼は音楽面の苦悩だけでなく、自身のルーツやセクシャリティ、病気など大きな悩みを常に抱えていましたが、その悩みを仲間やパートナーと共に、戦い続けたことでカリスマとしてのオーラを身に着けた人物でもあります。
作中ではそういった歴史や過程が、映画のストーリーとともに主人公のファッションでも表現されています。

唯一無二の新しい自分を築くためのファッション

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

移民出身の「ファルーク・バルサラ」は、自分のルーツを嫌い「フレディ」と名乗っていました。
厳格な父親への反抗もあってか音楽にのめり込み、パフォーマーになることを夢見ているなか、後に「クイーン」となるバンドに参加することになります。
チャンスを得たフレディは、パフォーマーを標榜するだけあって、ステージコスチュームがとにかくド派手!

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

普段は、70年代ファッショントレンドを象徴するような、パンタロンやフォークロア調、ワーキングウェアルックなどを着こなしていますが、ステージでは当時の20年代リバイバルの影響を受けたかのような腕の動きで様々な表情を見せる純白のプリーツ袖ジャケットや、ミラーボールのようなジャンプスーツ、エリマキトカゲのような衣装を着用するなど、ステージはパフォーマンスの場としっかり定め、見た目にも人々を喜ばてくれます。
きっと「ファルーク・バルサラ」は、ルーツにカテゴライズされないパフォーマー「フレディ・マーキュリー」という存在を作り上げることで、唯一無二の新しい自分を築きたかったのではないでしょうか。

着飾ることを捨てるのもファッション

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

自身のセクシャリティを受け入れてからのフレディ・マーキュリーはヴィジュアル的にも大きく変貌していきます。
パフォーマーとしても唯一無二の存在になれて一つの目標を成就したことも大きく影響したのか、必要以上に着飾ることから、よりシンプルに自分そのものを魅せるスタイルに変貌するのです。
長髪のウルフヘアが、より自分自身の個性を表現すべく短髪リーゼントヘア&口髭に変わり、コスチュームもシンプルな柄物Tシャツやシャツにジーンズをはいたルックに変わるなど、とにかくこれまでのステージファッションから大きく引き算を施したスタイルに変貌を遂げていきます。

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

また、時には上半身裸にネクタイなど、着飾ることを捨て去ったルックにもなりますが、これは生身の自分をさらけ出すことで魂の訴えを表現しているともいえます。
事実この頃に「We are the Champions」や「We Will Rock You」といった人々の魂を奮い立たせるようなヒット曲が生まれているのです。

伝説のカリスマパフォーマー誕生

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

大成功をなし得たフレディ・マーキュリーですが、その過程で多くのものを失っていきます。
さらに自身が病にむしばまれている事が発覚したことで、本当に大切なものに気づきます。
その本当に大切な最小限のものを得ることができたフレディ・マーキュリーは、ファッションでもさらに大きく変貌を遂げていきます。
着飾ることを捨てて生身の自分をさらけ出していましたが、さらなる変貌=ファッション的引き算として、ステージ衣装としては究極的というべき、白タンクトップにデニムパンツという到底ステージ映えしないコスチュームでステージに立つのです。
しかしながらこれまでの栄光で得たものを全て捨て、本当に大切なものだけを残して再起をかけるフレディ・マーキュリーには、このコスチュームが自然に導き出されたものだったのかも知れません。

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

さらに「本当の自分に戻れたらまた会おう」と約束していた最後の恋人に会いに行き、長らく心を交わしてなかった父親とお互いの心を交わすことが出来たのは、一度は捨てた「ファルーク・バルサラ」と「フレディ・マーキュリー」がようやく一人の人物になれたことを意味するのではないでしょうか?

©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

自身のルーツやセクシャリティ、病気など大きな悩みを全て受け入れて、「本当の自分の姿」での魂のパフォーマンスを世界中が注目する「LIVE AID」で披露したことで、フレディ・マーキュリーに世界中が魅了され、今尚語り継がれる伝説のカリスマパフォーマーとなったのです。

『ボヘミアン・ラプソディ』

2枚組ブルーレイ&DVD/ブルーレイ¥4,700+税 発売中
発売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

Writer:菅原敬太(イベントクリエイター)

新製品発表会を中心とするPRイベントのプロデューサー。
キャリア20年を誇り現在も週1本ペースでPRイベントに携わり多忙を極めるも空き時間には「服」と「甘味」を求める「ファッショニスタ」であり「カンミニスタ」でもある。 「PR演出」「ファッショナブル プロモーション」を提唱し講演や講師としても活躍中。 文化服装学院 非常勤講師 Instagram: @sgwrkta
www.synchronicity.jp

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