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COLUMN
Mar. 14, 2018

【映画にみるファッション】『マイ・インターン』
―これからはハンカチを持とう!―

シネマチックなライフスタイルのヒントを様々な視点から紹介するコラム「Cinema for Life」。ファッションの切り口でイベントクリエイターの菅原敬太氏に語って頂きます。

『マイ・インターン』―これからはハンカチを持とう!―

自分のファッションは、いくら着飾っても何かが足りないと感じたことはありませんか?
アン・ハサウェイの多彩なファッションが注目された『マイ・インターン』は、ファッションを愛する者として、とっても大切なことを教えてくれる作品でした。

どんな時でもファッションを楽しむ

ジュールスの社内の移動手段はなんと自転車!?だからこその軽快なファッションにも注目。

舞台はニューヨーク。 華やかなファッション業界に身を置きプライベートも充実しているジュールスを演じるのは、あの『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ。
オフィスワークが中心の日は、軽やかでラフなファッションになりがちですがジュールスにかかれば、粗い編目のニットセーターをモノトーンコーディネートでシンプルにまとめて、仕上げのヒールをモノトーン柄にすることで、ラフなファッションも抜かりなくモードな装いに演出しています。

クラッシックは不滅だ

ベンのスーツスタイルには拘りが満載!

会社の福祉事業として、シニア・インターンとして雇われるのが名優ロバート・デ・ニーロ演じるベン。
ベンのスーツスタイルは、ラフな装いが多くを占める社内では異質のジェントルマンスタイル。
ナチュラルショルダーのスーツとボタンダウンシャツ&ネクタイの王道NYスタイルを基本に、装飾的な彫金が施されたメタルフレームの眼鏡や長年愛用してきた拘りの小物達がそのスタイルにヴィンテージ感を醸し出すアクセントとなって、普遍的なクラッシックを演出しています。

ファッションへの溢れる愛情

ジュールスの鮮やかなワンピーススタイルにも隠れたメッセージが…。

ファッションサイトのCEOであるジュールスは、当たり前のようにTPOに応じたスタイリングで登場します。
しかしそのスタイリングからは、単なるTPOを抑えただけではない相手への気配りやメッセージが感じます。
フェミニンなワンピースも気分が上がるカラーをセレクトすることで、周りの気持ちを前向きにしてくれます。
モードなジャケットのディティールからは、場の想像力を掻き立てクリエイティビティを刺激させます。
そういった相手への気配りやメッセージを、TPOを抑えたスタイリングで表現できる人からは、ファッションへの溢れる愛情を感じます。

これもまたファッションへの溢れる愛情

ベンとジュールス、それぞれのスタイルへの愛情とは!?

一方でベンからもファッションへの溢れる愛情を感じます。
「楽なファッションで就業しては」とジュールスに言われますが「スーツが楽なので」とベンは返答。
この言葉からは、ベンがファッションへの溢れる愛情を持って、長い年月スーツを着てきたことが解ります。
多くの男性がスーツ&シャツは、着苦しいと感じるも慣れやオーバーサイズのセレクトで対処しています。
しかし自身の身体的特徴にあったデザインや完璧にフィットするサイジングであれば、着苦しさとは無縁で、ベンは長い年月を掛けて辿り着いた完璧なサイジングで着こなしているからこそ「スーツが楽」なのです。

品格をオーラとして身に纏う

周囲にとってかけがえのない存在になっていくベン。その理由とは?

ベンは、いつしか会社にとってもジュールスにとってもかけがえのない存在へとなっていきます。
誰しもが心を平穏に、毎日を楽しみたいと思っています。
横にいるだけでそうさせてくれるベンは、大人の男性とは“上品な男であれ”ということを教えてくれます。
一つ一つの所作が上品であることは、相手に嫌悪感を与えません。
時に手柄を他人に譲る行為は、人間としての大きさや余裕を感じさせます。
それらを持ち得るベンには、品格を感じます。
品格とは、家柄や経歴ではなく品位ある数々の行動や所作がその人の格になりそれが品格に繋がるのです。
だからこそ年齢や性別を超えて、誰しもベンを好きになってしまうのです。
ファッションは、洋服を着るだけでは完成しません。
最後に自身の品格を、オーラとして身に纏うことで、ファッションは完成するのです。

ファッションを愛する者としてとっても大切なこと

『マイ・インターン』が教えてくれたこと

「ハンカチは女性が涙した時に貸すために持つもの」
このウィットに飛んだセリフが『マイ・インターン』のファッション感を表現しています。
自分のファッションを楽しみながら相手を想い気遣う姿勢を忘れないことが本当のファッション。
ファッションを愛する者として、忘れてはいけないとっても大切な姿勢です。
『マイ・インターン』は、そういった深い姿勢を教えてくれる作品でした。

さぁ男性諸君。 これからはハンカチを持とう!

 

(文・菅原敬太)

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『マイ・インターン』

ブルーレイ ¥2,381+税/DVD ¥1,429 +税

ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

■公式サイト:
https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=50085

Writer:菅原敬太(イベントクリエイター)

新製品発表会を中心とするPRイベントのプロデューサー。
キャリア20年を誇り現在も週1本ペースでPRイベントに携わり多忙を極めるも空き時間には「服」と「甘味」を求める「ファッショニスタ」であり「カンミニスタ」でもある。 「PR演出」「ファッショナブル プロモーション」を提唱し講演や講師としても活躍中。
文化服装学院 非常勤講師 Instagram: @sgwrkta
www.synchronicity.jp

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