タレントやお笑い芸人、アイドルなど、これまでテレビや映画の世界で活躍してきた芸能人たちの「Youtube参入」が進んでいる。そんな中、映画『キングダム』や朝のNHKドラマ『まんぷく』等に出演した人気俳優・要潤さんが、今年に入ってYoutubeチャンネルを開設した。それも、ショートフィルムをアップしているという。
なぜ、Youtubeをはじめたのか、ショートフィルムと要さんとの縁は?オンライン取材でインタビューを行った。
要潤さん
-まず、いつどんな目的でYouTubeチャンネルを始められたのかという経緯をお伺いできますか?
要始めたのは今年(2020年)の1月後半からです。目的は特にはっきりとは決めておらず、自分が経験したことや、これからの目標や夢を語っていければいいなと思い、その中で仲の良い方やこれまで共演してきた方たちとコラボレーションできたらいいなと思いました。YouTubeは、ゴルフのレッスン動画を見たり、英会話を勉強したりと非常に身近な存在だったので、自分も何かできることはないかと探り探りで始めていきました。
-始めるにあたって、なにかきっかけはあったのでしょうか?
要きっかけというより、「やってみたら?」という周囲からの声もあり、自分も好きでよく見ていたので、「とりあえずやってみよう」という感覚で始めました。
-YouTubeチャンネルを拝見しましたが、最初の動画が映画『スターウォーズ』の解説動画でした。最初にこのテーマを選んだ理由はあるのでしょうか?
要:編集を頼んでいる人と一緒に企画を考えているのですが、当時ちょうどスターウォーズの最終作が公開されるタイミングで、自分もスターウォーズが大好きで楽しみにしていたのでその話をしてみようかと。
-他の動画を見ても、内容としては映画の紹介が多いですね。
要そうですね。やはりオフの時間にやっていることと言えば映画をみたり本を読んだりがほとんどで、それをそのままYouTubeにつないでいくのが、自分のスタイルに沿っている気がしました。
-俳優としての要さんの側面とは違うものを見せよう、という意識はしていらっしゃるのでしょうか?
要全然違うものを見せようとは思っていないです。俳優から派生したものをやっていきたいというふうに思っています。
-特に印象に残っているおすすめ動画はありますか?
要やはり僕は「仮面ライダー」でデビューしたので、仮面ライダー関連の動画はコメント欄を見てもリクエストが多かったです。もう20年ほど経ちますが、それでもいまだに根強く期待してくださっている当時のファンの方が多く、懐かしんで観てくださっています。
-栗を皮のまま食べる動画を観ました。私は元ネタがわからなかったので検索して「ああ、これか!」と。
要かなりマニアック向けですね(笑)
-他にどういった動画をアップされていますか?
要あとは、うどん屋さんにフューチャーしたものです。僕は讃岐の人間ですが、全国にうどん屋さんはあるので、秘境にあるうどん屋さんで頑張っている人たちにスポットを当てたいなと思っています。そこで、「こんなところにうどん屋さん」という動画をアップしています。今はコロナウイルスの影響でなかなか行けませんが、これからもなるべく行ける場所はやって行こうかなと思います。
-企画は要さんご自身で考えていらっしゃるのでしょうか?
要そうですね。あとはチャンネルを一緒に作っている人たちと話し合ってやっています。
-その他ファンの方々からの反響で多かった動画や、特にこれは面白い反響があったという動画は?
要やはり仮面ライダーのコンテンツが受けます。非常にコメントも増えますし(笑)。あとは自分の意図しないところで言うと、映画の話をした時に、すごく再生回数が多かったです。自分の中ではあまり再生回数を狙おうとは思っておらず、本当に自分が楽しくやれたらいいので、基本的には気楽にできるものをやろうと思っています。
要 潤【Jun Kaname】Youtubeチャンネルより
-ここで紹介されている映画は要さんが本当に好きな映画ということですね。要さんはどういう映画が好きでいらっしゃるんですか?
要どのジャンルも僕は分け隔てなく観るタイプです。アクションや恋愛ものが特に好き、ということはあまりなく、自分の中でグッとくるものがあれば。分け隔てなく観るようしています。
-好きな俳優さんはいらっしゃいますか?
要本当にたくさんいますが、ショーン・ペンさんが好きです。僕が歳をとったらああいう役者さんになりたいなと。
-YouTubeを作っている過程で新型コロナウイルスが起きて自粛期間に入りましたが、この流行が始まって新しく始めた動画や、これからやっていきたいことはありますか?
要まだ色々考えている段階です。最終的には映画、それこそショートフィルム、ショートムービーをYouTubeで作って流したいという思いはあるので、そういう活動を徐々にできたらと思っています。それも視聴者の皆さんと一緒に作れたらと実は思っていて、その作る過程もYouTubeだったら見せることができますし、そこで愛着持ってもらうこともできるのかなと思っています。
-一緒に、というとどういうイメージでしょうか。一緒に脚本を作るといったことでしょうか。
要はい。今は少し減りましたが、昔は一般の人たちからシナリオを募集してシナリオ大賞などもありましたよね。以前は、若い才能のある人たちが、どうしても東京に来られなかったり、日の目をなかなか浴びることができなかったりしました。でも今はリモートで打ち合わせもできますし、脚本を送ってもらえれば読めますので、そういう形が取れたらなというふうに思っています。
-その時の要さんは俳優としてだけでなく、監督や色々な立場で関わっていくという形になるのでしょうか。
要そうですね、監督はちょっとできないかもしれませんが、制作側、裏方で作品を組み立てていきたいなと思っています。
-これまでも俳優以外の形で作品作りに関わったことはあるのでしょうか。
要一度監督をやったことはあります。10年以上前で、自分の中ではとても大変な仕事だったので、俳優とは全く違う種類の仕事だなと感じました。ただ現場を20年やってきて、やはりいろんな目線で物事が見られるようになってきつつあるのかな。見なければいけない状況もありますし、俳優だけでなく、制作側の気持ちを考えなければいけないこともあるので。そういう意味では自分が今まで経験してきた範囲のものではありますが、制作にもチャレンジしてみたいなと思います。
-監督の苦労はどんなところにあると思いますか?
要俳優は自分のことだけ考えていればいいですが(笑)、監督はやはり全体を見なければならないので、気の使い方が違います。
-YouTubeのチャンネルの話に戻りますが、今後コンテンツとして作っていきたいもの、先ほど視聴者参加型のショートフィルムというのも伺いましたが、それ以外にもアイディアがもしあればお聞かせください。
要YouTubeなので、これからなるべくコラボレーションのような形で、職業の枠を超えてやってみたいなと思います。
-今オファーをするとしたら、この人と共演したいというような方はいますか?
要そうですね、うーん誰だろうな・・・。やはり、とんねるずの石橋さんの「貴ちゃんねるず」です。僕らの憧れの存在でしたから。単純にどんな感じでやってるんだろうという興味はあります。
ショートフィルム『ザ・シークレットショウ』より
-ありがとうございます。そんな要さんのYoutubeチャンネルですが、この度、「ショートショート フィルムフェスティバル2005」で上映した、『ザ・シークレットショウ』という作品の配信が始まりました。15年前の作品、私も拝見しましたが、本作が初めてのショートフィルムの出演でしょうか?
要ショートフィルムはこの時が初めてでした。中尾さん(その後「タイムスクープハンター」を制作した中尾浩之監督)に声をかけていただいて。でも、ショートフィルムか長編映画かはあまり意識しておらず、脚本がとても面白かったので、これはぜひやりたいなという気持ちの方が強かったです。
-石原良純さんと共演したカツラのコメディですよね。その時の撮影で、今でも思い出に残っていることはありますか?
要手作り感がすごくあって、カメラも小さなカメラで撮ってたりして、監督の中尾さんの映像の工夫もありますが、すごく撮影の仕方が斬新だなと思いました。
-小さいカメラを使って動きのある画を撮っている感じですね。
要今だとGoProで撮ったりするかもしれませんが、2005年当時、「ああ、こういうふうに撮るんだ」という新鮮な感覚がありました。
-ショートショートの関わりで言うと、新作の『お誕生日おめでとう』という作品を7月に撮影されたと伺いました。ショートフィルムに携わってこられて、ショートフィルムの面白さはどんなところにあると感じていらっしゃいますか?
要短い中にたくさんメッセージが込められていることで、とても見応えがあると思います。長編になってくると、様々な事件がないとどうしても観られなかったり、メッセージよりも強くストーリーが出ちゃったりすることがあります。僕も何年か前に「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」の審査員をやらせてもらいましたが、尺に関係なく、強烈にインパクトがある作品を作れるのがショートフィルムの強みかなと思いました。ワンカットだけでも強烈にインパクトを残すことができる、それこそが本当のアートだと思います。きっとこのワンカットを撮りたくて作っているんだろうなというのが明確にわかります。
-ご自身も先ほどショートムービーを撮っていきたいというお話をされていましたが、『ザ・シークレットショウ』や『お誕生日おめでとう』など今まで見てきた作品の中から自分の作品に生かしていきたいものもありますか?
要それはもちろんあります。やはりどの作品に参加させていただいても勉強になるので。今回のものに関しても、こういう切り口もあるのかとすごく勉強になりましたし、それは生かしていきたいと思います。
-テレビドラマやラジオ、映画、YouTubeとマルチに活躍されている要さんですが、今後長期的に、このメディアに力を注いでいきたいと考えているものはありますか?
要どこかに絞ろうとは考えていません。この20年で、メディアの形が増えて僕たちが活躍できる場所がどんどん増えているのはすごく嬉しいことではありますが、そのうちどれかを一生懸命がんばろうというのはあまり考えてもしょうがないというか、そこはもう時代の流れに身を任せることしか出来ないのかなと。20年前はYouTubeに出ようなんて全く思いませんでしたし、そのときそのときの自分がパフォーマンスをできる場所を探していきたいと思います。
-媒体が多様化する中で、俳優としてこういう俳優になりたいというような、目標像はありますか?
要尊敬する先輩方を見ていると、命が終わる寸前まで俳優をやっている人が多いので、そういうふうになれたらいいなと思います。演じるということは同じです。映画も舞台もテレビも、ネットフリックスでも。それをどこまでやれるか、どの年齢までやれるかというのが一つ挑戦のような気がします。
ショートフィルム『お誕生日おめでとう』より
(取材:大竹 悠介)
要潤(かなめ・じゅん)
1981年生まれ、香川県出身。2001年「仮面ライダーアギト」(EX)で俳優デビューし、ドラマ、映画、CMと幅広く活躍。「ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE」(08)で映画初主演を務める。その他に「神様のカルテ」(11)、「劇場版タイムスクープハンター」(13)、「映画 謎解きはディナーのあとで」(13)、「あやしい彼女」(16)、「DESTINY 鎌倉ものがたり」(17)、「スマホを落としただけなのに」(18)、「キングダム」(19)などの作品に出演している。
要潤さんYoutubeチャンネルで『ザ・シークレットショウ』の配信を開始!
『ザ・シークレットショウ』
監督:中尾浩之 出演:主演:要潤、石原良純、次長課長ほか
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Writer:BSSTO編集部
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