映像クリエイターとショートフィルムの繋がりを様々な角度から深掘りする「クリエイターズファイル」。
今回ご紹介するのは、BSSTOで『クリスマス・デイ』が配信中の、エストニア出身のAlexandra Pärn監督。

映画祭と連動する、クリエイターのためのプラットフォームLIFE LOG BOX*に作品登録をいただいたことから配信が決定。 作品制作の背景や撮影時のエピソードとともに、クリエイターとしてLIFE LOG BOXをどのように活用できるかをインタビューしました。
*LIFE LOG BOXとは
ショートショート フィムフェスティバル & アジア、そして株式会社ビジュアルボイスが2023年にローンチした、永続的に保存可能なデータストレージや、ポートフォリオの機能を備えたクリエイターのためのプラットフォーム。
新しい仕事やマーケットプレイスでの収益獲得を目指し、コンテンツやクリエイターの価値を最大化するサービス。
■LIFE LOG BOXのようなクリエイター向けのサービスを使用したことはありましたか?
いえ、ありませんでした。今回、登録したことでBSSTOでの配信が決定し、とてもうれしく思っています!まだ名前の知られていない若いクリエイターにとっては特に、こうしたプラットフォームを活用することで、世界に自分の作品を発信できる機会になるのではと思いました。
■この映画を作ろうと思ったきっかけは何ですか?制作の背景を教えてください。
『クリスマス・デイ』は、私がバルト映画メディアスクール(Baltic Film and Media School)で学んでいる間に制作しました。これは私にとって3作目の映画で、「コメディを作る」という課題が出されていました。コメディ監督として自分を見たことがなかったので、最初は気が引けました。しかし、脚本家やプロデューサーとブレインストーミングを始めた途端、自分自身に挑戦するというアイデアにとても興奮しました。
私たちは、人々が共感できるコメディを作りたいと考えました。そのための舞台として、クリスマス・イブは完璧だと感じました。あの時期は感情が高ぶり、雰囲気は慌ただしく、家族が集まればいつも何か起こるものです。私たちはその混沌だけでなく、通常のクリスマスの賑やかさとは正反対の、深い悲しみという感情の層も捉えたいと考えました。


■この映画を通して伝えたい、あるいは描きたいメッセージや感情は何ですか?
観客には、主人公のピアに共感し、彼女が巻き込まれる不条理な状況に笑いつつも、祖父を取り巻く感情的な流れにも注目してほしいと思いました。クリスマスは様々な感情が入り混じるものであり、私はユーモア、混沌、ノスタルジー、そして温かさのバランスを反映させたかったのです。
視覚的にも感情的にも、私は家族生活の慌ただしいリアリズムと、ピアが体験する穏やかで魔法のような感覚を対比させ、小さなクリスマス・ミラクルのように感じさせたかったのです。

■監督にとって、特別なクリスマスの思い出はありますか?もしあれば、それは映画に反映されていますか?
はい!私にとってクリスマスは、常に家族と時間を過ごすことでした。そして、この映画と同じように、家族全員が集まると、小さなドラマ、面白い瞬間、混沌、そして温かさがすべて混ざり合い、いつも予想外の何かハプニングが起こります。その精神は間違いなく映画の中に入り込んでいます。

■エストニア特有のクリスマスの伝統や特徴的な習慣はありますか?
エストニアのクリスマスの伝統は、食べ物と家族の集まりに密接に結びついています。私たちは、ヴェリヴォルスト(血のソーセージ)、ザワークラウト、オーブンで焼いたジャガイモ、ジンジャーブレッドなどの伝統的な料理を食べます。そしてもちろん、クリスマスプレゼントをもらうためにサンタクロースにクリスマスキャロルを歌ったり詩を朗読したりします!

■撮影や編集中に特に大変だったこと、または印象的だったことはありますか?
最も大きな課題の一つは、現実の世界と魔法の世界を視覚的に分離しつつ、それでもなお両者をつなぎとめることでした。もう一つの印象的な要素は、キャストとの作業でした。俳優たちはすぐに打ち解け、信じられる家族のダイナミクスを築き上げました。子役との即興演技は、撮影現場で非常に楽しく、本物のような瞬間を生み出しました。

■影響を受けた映画監督や作品はありますか?
多くの監督から影響を受けていますが、特に長編映画がほとんどドキュメンタリーのように感じられる監督たちに影響を受けています。
アンドレア・アーノルドは私にとって大きなインスピレーション源です。彼女のリアリズムの捉え方や、登場人物がいかに生き生きと感じられるかが大好きです。是枝裕和監督の優しく人間中心の語り口と家族のダイナミクスに焦点を当てた姿勢も、私を形作りました。また、ダルデンヌ兄弟の生々しく、観察的な視覚スタイルにも影響を受けています。
この映画自体には特定の参考にした監督や作品はありませんが、これらの映画製作者たちが私の全体的なアプローチに影響を与えています。
■ショートフィルムの持つ独自の魅力は何だと思いますか?
ショートフィルムは、多くの創造的な自由を可能にしてくれます。リスクを冒したり、スタイルやトーンを実験したり、一つの明確なアイデアや感情に焦点を当てたりすることができ、それを長編の物語に引き延ばす必要がありません。映画製作者として、ショートフィルムは私に成長し探求する場を与えてくれます!
■今後のプロジェクトや将来の夢、抱負について教えていただけますか?
最近、学校外での初めてのプロジェクトとして、短編ドキュメンタリーの資金提供を受けました。それはエストニアの夏の休暇地「ナルヴァ・ヴェニス」についての作品で、非常に異なる二つの文化が出会い、何かを一緒に作り出さなければならない場所です。これは1月に公開される予定です。
また、若い観客向けの映画製作や、子どもたちと仕事をすることにも非常に情熱を持っています。私の卒業制作映画『ハッピー・シングス』は現在、子ども向けおよび青少年向けの映画祭で上映されており、若い観客との会話は信じられないほど意義深いものです。
今後は、自分のコンフォートゾーン(居心地の良い範囲)からさらに抜け出し、映画を作り続けたいと思っています!
Writer:BSSTO編集部
「暮らしにシネマチックなひと時を」
シネマな時間は、あなたがあなたに戻る時間。
「ブリリア ショートショートシアター オンライン」は、毎日を忙しく生きる社会人の皆さんに、映画のあるライフスタイルをお届けします。
毎週水曜日にショートフィルムをオンライン配信。常時10本ほどを無料で鑑賞できます。
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