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COLUMN
Apr. 13, 2024

映画で旅する、café de cinéma vol.3

映画で旅する、café de cinéma第3弾。

今回はアカデミー賞受賞したあの作品(今年のではないですよ)で、いってみたいと思います。
でもその前に、簡単な自己紹介。

都内を中心に全国各地で上映会を開催している、「旅する映画館 café de cinéma」主宰のちゃっぴーです。

以前こちら(ブリリア ショートショートシアター オンライン)で、「上映会の作り方」 というコラムを書かせていただいていました。

今年(2024年)からは、「映画で旅する」と題して、行ったことはないけれど(笑)、映画を観て、通じて、その国、その土地、その場所に行った気分を味わっちゃおう、というコラム書き始めています!今回は記念すべき?!3回目となります。

今回はアカデミー賞受賞作品、ピーター・ファレリー監督『グリーン ブック』で旅しよう!

© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

前回話題にした『PERFECT DAYS』は残念ながらアカデミー賞受賞とは行きませんでしたが、同じく日本からノミネートされた『ゴジラ-1.0』は見事受賞しましたね!!

そして今回は2019年の第91回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、見事に作品賞、助演男優賞、脚本賞を受賞したピーター・ファレリー監督の『グリーンブック』で旅をしましょう!!

1960年代のアメリカを舞台に、実話に基づくストーリー

1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだがーー。

まず本作は、車で旅をします!
映画の代名詞とも言えるターコイズグリーンなボディの車は、アメリカの大統領専用車にもなっているキャデラックドゥビル セダン(Cadillac Sedan DeVille)!40台以上のヴィンテージカーから選ばれたこの車は、映画におけるもう一人の主人公というべき存在感を出していました!

そもそも、映画のタイトル「グリーンブック」とは、上述にもある通り黒人向けの旅行ガイドで、実際に1936年〜1966年まで毎年出版されていたもの。実際の名前は“The Negro Motorist Green Book”であり、「自動車で旅行するアフリカ系アメリカ人」のための旅行ガイドブック。ちなみにグリーンは創刊者のヴィクター・H・グリーンに因んだものだとか(色ではないんですね!)。

グリーンブックを頼りに、アメリカ南部でのツアーを目指す二人

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旅をするのは、アメリカ南部。映画の冒頭と終盤はNYですが、メインは南部ツアー。そしてその行程は
ニューヨーク州ニューヨークから出発して、

ペンシルベニア州ピッツバーグ

インディアナ州ハノーヴァー

アイオワ州シーダー・ラビッズ

ケンタッキー州ルイビル

ノースカロライナ州ローリ

ジャージー州メイコン

テネシー州メンフィス

アーカンソー州リトルロック

ルイジアナ州バトンルージュ

ミシシッピー州チェーベロ

ミシシッピー州ジャクソン

アラバマ州バーミングハム

ニューヨーク州ニューヨーク

と多くを巡る旅(ツアー)を行います。
しかも、2ヶ月で回るツアーとは、なかなかタフな行程です。

本作の多くはニューオーリンズで撮影

© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

多くはニューオリンズなどで撮影されたようで、アメリカ南部の歴史を色濃く残す地域を巡っています。
しかし、劇中の1960年代は、奴隷制度が撤廃されてから100年経っていたとはいえ、未だジム=クロウ法により南部の諸州では黒人差別が続いていた時代。

劇中にもそこかしこに出てきます。
※公民権法が成立したのは映画の舞台より後の1964年

そんなかイタリア移民のトニーと黒人であるドクター・シャーリーのふたり旅は、良くも悪くもいろいろな揉め事が起きますが、それはぜひ映画を観て確認してみてください〜。

© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

映画冒頭のニューヨークのシーンのいくつかも、ニューオリンズで撮影されています。
ナイトクラブCopacabanaの外観は、インターナショナル ハウス ホテル(International House Hotel)、
内観は、カーバーシアター(CarverTheater)、
ホットドッグの早食い競争の店内は、クローバーグリル(Clover Grill)、
ジョージア州メイコンでのコンサートシーンは、オーフィウムシアター(Orpheum Theater)、
インディアナ州のコンサートホールシーンは、テュレーン大学(Tulane University)のMcAlisterAuditorium、
アラバマ州バーミンガムのレストランシーンは、English Turn Golf & Country Club・・・
などなど、その他多くのシーンが撮影されています。

その他ルイジアナ州およびその他周辺で多くのロケが行われていますので、ぜひアメリカ南部の旅を計画の際は、それぞれ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

たくさんの意味が込められたフライドチキンのシーン

それにしても、この映画で一番気になった食事(映画としても)は、やはりフライドチキン、でしょうか?

ケンタッキー州に入ったらとたん、某チェーン店の1号店を発見し早速店内に入ってチキンを大量買い!
車の中で頬張りながら行われる二人のやりとりは楽しさもありながらも、当時の黒人差別を意識させるセリフになっている(この映画の根幹の一つ)ところが、なかなかのポイントなのではないでしょうか?

そして、最後に、冒頭書いた通りこの映画は「実話」に基づくストーリー。
本作のプロデューサーでもあるニック・ヴァレロンガが父親であるトニー・リップから聞いた話や、劇中でも書かれている妻宛の手紙などをもとに、脚本・製作された映画。

実際本作のストーリーである南部へ2ヶ月のツアー、は1年半のツアーだった模様。トニー自体は、その後ナイトクラブに戻り、そこでコッポラなどと知り合い、『ゴッドファーザー』で映画デビューを果たしている、そうです。

アメリカ本土は、まだNYにしか(しかも20年前!)訪れたことがないけど、その時も本場のBlue Noteへ!と向かったので、南部へ行く機会があったら、やっぱりニューオリンズは訪れてみたい街の一つ、ですね

〜旅する映画館の紹介〜

「⽇常の延⻑線上にある映画(館)」をテーマに、映画を楽しみ語らうサロン的な雰囲気と場所を⽬指す。
主に10名程度の⼩規模で気軽な上映会に加え、映画だけでなく、映画に合わせたゴハンも楽しむ企画から刺繍ワークショップ、ミュージシャン、焚き火とのコラボなど+αの“体験”を加えた上映会、100人超の野外上映など年間で100回以上の上映会を各地開催中

<イベント告知>
4月の上映情報
・4月18日(木)20:00上映開始
ゆるいえいがかん vol.82 『Tomorrow パーマネントライフを探して』
@yurucafe(豊島区雑司ヶ谷)
https://note.com/cafedecinema/n/nc9fab6ab3000

・4月20日(土)18:00上映開始
Viaシネマ 1st『パンクシンドローム』
@本で旅するVia(杉並区荻窪)
https://note.com/cafedecinema/n/n6e018609ed0c

・4月21日(日)17:00開場18:30上映開始
御殿山キネマレストラン第7回『スワロウテイル』【無料上映】
@御殿山あいにく(品川区・御殿山)
https://note.com/cafedecinema/n/n243615b6354b

・4月22日(月)19:30開場20:00上映開始
ナワシロシネマ vol.24
@ナワシロスタンド(世田谷区下北沢)

・4月24日(水)19:30開場20:00上映開始
ヱビスキネマ vol.160 『パレードへようこそ』
@ビストロダルブル恵比寿店(渋谷区・恵比寿)

・4月28日(日)、29(月祝)18:30上映開始
キラリな 星空シネマ【無料】
@キラリナ吉祥寺9Fキラリナテラス
https://www.kirarinakeiokichijoji.jp/special/?cd=000077

・5月11日(土)19:30開場20:00開始
オコゼシネマ vol.25/café de cinéma with ブリリア ショートショートシアター オンライン
@Bar OKOZE(目黒区・不動前)

『グリーン ブック』

【あらすじ】
1962年、差別が残る南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニスト、ドン・シャーリーは、粗野で無教養のイタリア系、トニー・リップを用心棒兼運転手として雇うことに。黒人用旅行ガイド<グリーンブック>を頼りに、正反対のふたりは旅を始めるのだが――。

https://gaga.ne.jp/greenbook/
© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

Writer:旅する映画館 café de cinéma主宰 ちゃっぴー

映画に憧れ、映画に携わることを夢見ながらさまざまな仕事を渡り歩くうちに、黎明期のVODビジネスに携わり、映画業界の端っこに飛び込む。VODビジネスに携わって20年という、たぶんVOD業界でもかなりの古株なんじゃないかな?と思いながら日々を過ごしています。やっぱり映画はスクリーンで観たい!という気持ちと、観たい映画がすぐ映画館のスケジュールから消えていくのが悔しくて、自ら上映会をはじめ、結果として年間100回以上の上映会を開催している。

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