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Aug. 21, 2025

【Creator's File】『サーシャの坂道』 大根田良樹監督インタビュー

映像クリエイターとショートフィルムの繋がりを様々な角度から深掘りする「クリエイターズファイル」。

今回ご紹介するのは、国際短編映画祭ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2024の戦争と生きる力プログラム supported by 赤十字で上映した『サーシャの坂道』の大根田良樹監督。

今回BSSTOで特集する「戦後80年:もう一つの真実」にあわせて、ロシアとウクライナの紛争を背景に日本の日常に起こる小さなドラマを描く本作を配信することとなりました。

今回の配信をきっかけに、大根田監督は映画祭と連動するクリエイターのためのプラットフォームLIFE LOG BOX*にクリエイターとして登録。

作品制作の背景とともに、クリエイターとしてLIFE LOG BOXをどのように活用できるかをインタビューしました。

*LIFE LOG BOXとは
ショートショート フィムフェスティバル & アジア、そして株式会社ビジュアルボイスが2023年にローンチした、永続的に保存可能なデータストレージや、ポートフォリオの機能を備えたクリエイターのためのプラットフォーム。
新しい仕事やマーケットプレイスでの収益獲得を目指し、コンテンツやクリエイターの価値を最大化するサービス。

<監督インタビュー>

ーLIFE LOG BOXのようなサービスの活用経験はありますか?使用してみての感想をお聞かせください。
初めてです。ポートフォリオを作成できるのは、クリエイターにとって嬉しい機能だと思います。多くの人に知ってもらえる機会を得られることで、新たな出会いにつながっていく可能性があります。今後、海外の映画祭とも連携ができれば、より多くの舞台へ作品を届けるきっかけにもなるのではないでしょうか。

ーどのような背景で本作を制作することになったのですか?

アレクサンドル役を演じたセルゲイさんはロシアで育ち、今は日本で暮らしています。彼は私の友人でもあるのですが、ロシアのウクライナ侵攻のニュースを見たときに、「彼はどんな想いでこれを受け止めているのだろう」と考えました。そして同時に、「周囲の人たちは、その後彼とどう接するのだろう」ということも気になりました。そうしたことが、本作を制作するきっかけになりました。

ー本作で伝えたいメッセージや思いを教えてください。

知らない人へのネガティブなイメージだけで、全てを判断してしまうのはとても悲しいことだと感じたことがありました。ロシアのウクライナ侵攻のニュースを見たときです。
戦争そのものよりも、遠い国に住むわたしたちが「その国に住む人すべてが同じ考えだ」と捉えてしまいがちなことに違和感を覚えました。
また、日本に暮らす外国の人々も、本国のネガティブなイメージだけで偏見の目を向けられてしまう可能性があると思います。 きっとこのことは、ロシアとウクライナの関係だけではなく、わたしたちの社会そのものにおいても置き換えることができると思います。
相手を知り、その優しさに触れることで、知らずに見えていた物や人の見方が変わっていく。
そのことを主人公の純粋な眼差しを通して伝えたいと考えています。

ーいまだ続く紛争、戦争について、監督の視点で考えることはありますか?
日常の先にある紛争を描くことで、観る方にも紛争や戦争について肌に触れるような距離で受け止めていただけるのではないかと思っています。

ー監督が影響を受けた映画監督や映画作品はありますか?その中でも「戦争」を描いた作品はありますか?
影響を受けた監督は侯孝賢(ホウシャオシェン)監督です。彼の代表作のひとつ、『悲情城市』は1945年から1949年の激動の時代を背景に台湾を描いた作品です。直接的に戦争を描いた作品ではありませんが、社会情勢に翻弄される家族の姿が深く心に残りました。

ーショートフィルムの魅力はどんな点だと思いますか?
自由な発想でルールや制約にとらわれずに発想を広げて、監督自身の想いをそのまま作品にのせることができる点が魅力だと思います。

ー今後の制作や出演など予定をお教えください。
昨年の5月に撮影した短編映画が完成して、現在映画祭に挑戦しているところです。いつか皆さんに観ていただける日が来ることを願っております。また、私は役者でもあるのですが、昨年10月に公開された映画「怪人の偽証 冨樫興信所事件簿」(福田航平監督)の続編製作が決定しており、そちらも出演いたしますので、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。

Writer:BSSTO編集部

「暮らしにシネマチックなひと時を」
シネマな時間は、あなたがあなたに戻る時間。
「ブリリア ショートショートシアター オンライン」は、毎日を忙しく生きる社会人の皆さんに、映画のあるライフスタイルをお届けします。
毎週水曜日にショートフィルムをオンライン配信。常時10本ほどを無料で鑑賞できます。
https://sst-online.jp/theater/

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