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MAGAZINE
INTERVIEW
Apr. 04, 2018

【FRONT RUNNER】文化で「つながりの場」をつくる
〜逗子・CINEMA AMIGO館長に聞く映画と地域の関係〜

東京からJR横須賀線に揺られること約1時間。神奈川県逗子市は海と山に囲まれた自然豊かな街だ。東京や横浜のベットタウンという性格も持ちながら、湘南カルチャーに惹かれて移住する住民も多く、道ゆく人々や町並みからはどことなく明るく自由な雰囲気が伝わってくる。

そんな逗子の砂浜近くに建つ小さな映画館が「CINEMA AMIGO」(シネマアミーゴ)だ。民家を改装して作った館内は21席の1スクリーン。キッチンとバーカウンターが併設されており、飲食をしながら映画を楽しめる。街の雰囲気を象徴するようなゆったりとした映画体験を求め、地元のみならず首都圏一円から多くの人々が訪れる。

なぜ、逗子で映画館を作ろうと思ったのか。普通の映画館ではないCINEMA AMIGOならではのコンセプトはなにか。館長の長島源さんに話を聞いた。

映画を切り口にしたカルチャー空間あるいは「私設公民館」

―まず、「シネマアミーゴ」のコンセプトについて教えてください。

長島「映画を切り口にしたトータルのカルチャー空間」です。音楽やアート、さまざまなパフォーマンスなど、映画だけに特化しない複合的な場所ですね。席数は21席と映画館としては小さいのですが、様々なイベントを開催していますし、夜はバーにもなります。

―映画館だけれど、映画館だけではない?

長島いろいろなイベントがある中で、毎日開催されているイベントとして映画があるという位置づけでしょうか。世の中には大型のシネマコンプレックスと独立系のミニシアターがありますが、それらに並ぶ第3の存在として、シネマアミーゴはあります。私たちのやっていることを「マイクロシアター」と呼ぶ人もいますが、そんなモデルの1つになっているのではないかと思います。

―お客さんはどういう方々が集まるのでしょうか?

長島上映する映画によってかわりますが、多いのは逗子市内や隣接する鎌倉と葉山の人たちですね。平日の昼間はシニアや主婦の方々が多く、夜は地域のフリーランサーがよく集まっています。週末になると東京・神奈川の広い範囲から観光で来る方もいますね。

―長島さんは、どういった経緯でCINEMA AMIGOを始められたのでしょうか?

長島20代のころはいろいろな仕事を経験していて、その中で葉山の「ブルームーン」という海の家を手伝っていたことがありました。ライブやイベントを開催する海の家の先駆けのような場所で、場所があることで人と人とのネットワークができて、その中から既存の生き方にとらわれないオルタナティブなライフスタイルが生まれることを学びました。

30歳になった時に、自分がメインになって空間を作りたいと思って始めたのがシネマアミーゴです。

−どういう空間を作ろうと思って始めたのでしょうか

長島意識したのは、世代や分野を超えて多様な人たちが肩書きを外して繋がりあう場所ですね。映画を観なくても気軽に立ち寄れるバーも、それぞれの人の繋がりがこの場所で混じり合うというねらいがあります。

それから地元での繋がりの中から、フリーランスの人たちが地元で仕事ができるようになることを意識しています。この街を選んで移り住む人たちは、子育てなどをきっかけにして、都会のライフスタイルから距離を置きたいという意志を持ってやってきます。そんな人たちが地域とつながる窓口にCINEMA AMIGOがなると思うんです。

―例えば?

長島東京からやってきたアーティストが自己紹介をかねて演奏をしたり、料理人がここでランチ営業をしたりする。すると、いざ開業しようという時に地元に知り合いがたくさんいる状態で始められます。始める前からローカル化する機会が、自分らしいライフスタイルを築く後押しになっているのではないでしょうか。

旅での出会いを持って帰る「逗子海岸映画祭」

―長島さんはすぐ近くの砂浜で、毎年G.Wに「逗子海岸映画祭」を開催されていますね。こちらはどういったイベントなんでしょうか?

長島CINEMA AMIGOを立ち上げた仲間たちと、オフシーズンにも逗子に人が集まるきっかけが作れたらいいよね、と話をして2010年に始めたイベントです。映画上映だけではなくギャラリーがありフードがありライブがあり、1日の中でいろんなカルチャーを体験してもらえる場所です。映画は1日の締めくくりのコンテンツですね。街の人たちが自分を表現するハレの場にもなっています。

―パンフレットを拝見しましたが、「キューバ」だったり「インド」だったり、1週間ほど続く開催期間で、1日ごとにテーマを設けていろんなコンテンツを編成していらっしゃるんですね。

長島逗子海岸映画祭の開催をきっかけに生まれたチームがCINEMA CARAVANです。国内外のいろんな地域で、地域の魅力を掘り下げて地元の人たちと一緒に表現する企画を行ったりしているんですが、そこで出会った人たちと逗子とをつなげる意味を込めてテーマを設定しています。いわば、私たちが旅をして集めたものを持って帰る拠点が逗子海岸映画祭です。

―海外との繋がりが深いのでしょうか?

長島例えば、スペインのバスク地方の街・サンセバスチャンとのコラボレーションは初期の頃から続いています。仲間の写真家・志津野雷がバスクを訪れたことがきっかけで、「勝手に姉妹都市計画」と名乗って交流を始めました。大西洋に面した砂浜のあるサンセバスチャンは、街の規模も雰囲気も逗子と似ている街です。そのほかにも国内外の区別なく、都会経由ではない地方同士の繋がりが同時多発的に生まれています。

―自分たちの地域だけでなく、外の地域と交流することの価値とは?

長島自分たちの地域の中だけでは出てこない発想を得られることです。多様性の担保とでもいいましょうか、ローカルを育てている人間同士が繋がって、お互いに助け合い、刺激を与えあえる関係性が大切だと思います。

多様性がある世の中を作りたい

―長島さんがCINEMA AMIGOや逗子海岸映画祭などの活動を通して実現したい社会とは?

長島多様性があり、持続可能な社会ですね。世界の富の半分を1%の人たちが独占するような中央集権的な社会ではなく、各地域がエネルギー面でも食の面でも自立している分散型社会が理想です。独立しながらも、人が自由に行き来できるような世の中になったらいいですね。

―「ローカル」という言葉の含意は、そういうところにありますよね。

長島ローカルな方に分権が進めば、やがて国と国との境もわからなくなって来るのではないでしょうか。その時には、独立した地域同士の繋がりがより一般的なものになると思います。そんな社会の実現に向けた動きの一端を、私たちも担えればと思っています。

―最後に、長島さんにとって映画を見ることの価値とは?

長島日常の連鎖から切り離された時間を作ることですね。外界からの入力をOFFにして、一人の時間を持つことが、ものをつくる人にとっては大事です。映画を見ている間は映画に集中できるのがいいですね。

―ショートフィルムについてはいかがでしょうか?

長島『合唱』をみました。大人の不条理に対する子供達の反乱映画を久々にみたけれどもなんだか清々しかった。しかし出演している女の子たちもみんな可愛らしいし先生も綺麗だしハンガリー行ってみたくなりました(笑)

構成: 大竹 悠介
撮影: 吉田 耕一郎

長島源(ながしま・げん)

1978年神奈川県逗子市生まれ。CINEMA AMIGO館長。モデル、ミュージシャンとしても活躍。2009年、30歳の時に友人二人と生まれ育った逗子にカルチャー発信型の映画館CINEMA AMIGOを立ち上げる。開館8年目のCINEMA AMIGOは映画だけでなく逗子、葉山、鎌倉エリアの音楽、食、アートの発信基地として地元に愛される存在となっている。

CINEMA AMIGO(シネマアミーゴ)

所在地:〒249-0007 神奈川県逗子市新宿1-5-14

アクセス:JR「逗子」徒歩15分、京急逗子線「新逗子」徒歩13分

※近隣にコインパーキングあり。

開館時間:Open 9:45〜Close 最終上映終了後、不定期のBAR営業は24時まで

イベント・貸切等で休映となる場合がございます。ウェブ等でご確認ください。

席料(すべて1ドリンク付き)

一般   1,500円

高校生  1,000円

小中学生  800円

幼児    500円

※60歳以上の方はドリンクなしで1,000円も可

WEB  http://cinema-amigo.com/

逗子海岸映画祭

開催場所:神奈川県逗子海岸
日程:2018年4月27日(金)~5月6日(日)

逗子海岸映画祭オフィシャルサイト https://zushifilm.com/

Writer:大竹 悠介

ブリリア ショートショートシアター オンライン編集長/ショートショート フィルムフェスティバル & アジアwebマネージャー

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