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MAGAZINE
INTERVIEW
Oct. 19, 2018

【FRONT RUNNER】福岡発!映画コミュニティの若き女性リーダーが語る、
映画で紡ぐライフスタイルの作り方

2017年12月に発足したばかりにも関わらず、独自の視点で上映作品やトークイベントを実施し、着実にファンを増やしている「福岡映画部」は、「映画に学び、映画でつながる」をコンセプトにした福岡発の映画コミュニティだ。
代表の石渡麻美さんに、映画で紡ぐライフスタイルの作り方を聞いた。

映画に学び、つながる楽しさを届けたい

ずばり福岡映画部とは?

石渡
「映画に学び、映画でつながる」をコンセプトに、活動する映画団体です。 マニアじゃないけれど、映画が好きという人って多いと思うんです。そういった方々と一緒に、広い意味で映画に繋がれるようなプラットホームでありたいと思ってます。鑑賞後の語りの場をセットとした簡易映画館や、通常とは異なるアプローチで映画に関わる面白いゲストを呼んでのトークショーなど、映画にまつわる様々なイベントの企画運営を行っています。

発足のきっかけは何だったのですか?

石渡
初めは映画好きで集まっての飲み会をしよう、という感じだったんです。でも、映画好きの友人から紹介してもらった女性で「建築学生時代に留学先のパリで日本の映画館・映画産業と比較する論文を書いた」って人がいて。「なにそれ面白い、せっかくだから告知してもっといろんな人に聞いてもらおうよ」という会話になり。それが福岡映画部最初のイベントになりました。

イベントで上映する作品はどうやって選んでいるのですか?

石渡
まず、学びたいコトやヒトからテーマを設定したこともありますし、利用している上映システムpopcornの中で、シンプルに「観たい」という理由で選んだこともあります。
初めての上映イベントで『こども哲学-アーダコーダのじかん-』という作品を選んだときは、子ども時代の映画体験ってとっても貴重だなって考えていて、子ども×映画をテーマに何かできないかなあ、と思っていた時でした。
この作品、4歳から6歳のこどもたちが哲学対話をした1年間をまとめたドキュメンタリー映画なんですけど、上映会では哲学対話を通して子どもと大人のコミュニケーションを図る活動をしている「こども哲学おとな哲学アーダコーダ」というNPO法人の代表・川辺さんにお越しいただき、協力してもらい、来場者の方と哲学対話をやってみたりしました。
そういう意味では、映画で何か学びになるようなことをトークイベントではやっていきたいなと思っています。

『こども哲学-アーダコーダのじかん-』上映イベントでは、来場者との哲学対話も行われた。

学びですか?

石渡
はい。普段の生活で触れる機会が無いような、コトやヒトに出会わせてくれるのが映画の力だと考えています。それに、一人ひとりの人生やライフスタイルを語るときに映画が加わることで、みんなが共通言語を持てると思っているんです。
例えば『ロッキー』でも観た人それぞれにロッキー論があり、人生で頑張ったエピソードがあるじゃないですか。こうしたエピソードをアウトプットしてシェアしてもらうことで、参加者に自分事として何かを持ち帰っていただく事ができる。それが映画部がお届けしたい「学び」の要素かなと思っています。

イベントはどのように告知を?

石渡
主にFacebookとFacebook広告、それから友人たちにメッセンジャーで呼びかけたり、チラシを作って配ったりしています。会場側に告知協力してもらったりしていますが、昨年末から活動し始めたばかりなので正直方法もまちまちです。
なので、実際にはどういうやり方が自分達にとってベストなのかを探している感はありますね。
ちなみに映画部の写真って全て参加者の方が撮ってくれているんですよ。まるで自分ごとのように関わってくださる方が沢山イベントに来てくださるので、、本当に恵まれているなぁと感じています。

参加者の人たちも部員みたいで、まるで部活ですね。
映画部を始める前の石渡さんと映画の接点はなんだったのですか?

石渡
実は映画が好きになったのは3、4年前なんです(笑)。
前職で悩んでいた時に薦められた『桐島、部活やめるってよ』を観た後、たまたまラジオ番組でこの作品の批評を聞いて、自分の感想とまったく違う映画の観方に衝撃を覚えて。
それ以来、映画の事を深く知りたい欲求が高まっていきました。

映画部の「映画で学び、映画で繋がる」というテーマに繋がりましたね。

映画祭への参加を通して感じた福岡らしさ

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017 in 福岡(以下ショートショート福岡)のボランティアに参加されてますよね?

石渡
はい。まだ映画部も構想段階だったので、まずは福岡で自分の温度感に近い映画コミュニティに入って学びたいと思い、最初に応募したのがショートショート福岡のボランティアでした。

昨年、今年と参加されていますが、何か得たものはありましたか?

石渡
昨年私が参加した糸島市の会場では、商店街の空き店舗を劇場に変え、しっかり着席して観せる会場だったのですが、福岡市の川端商店街会場は、遮る事をせずに商店街の通りにスクリーンを吊るして上映していたので、座って観る人、写真を撮る人、観た作品について話す人などいろんな人がいたんです。そうした映画館的な発想に縛られない上映方法も面白いと思いましたね。

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017 in 福岡 川端商店街会場の様子

東京のショートショートも実施していない上映方法だったので、これがご当地らしさかと、ユニークに感じました。
福岡映画部の活動では、福岡らしさを感じたことはありますか?

石渡
参加者の方とFacebookで友達になったりすると、友だちの友だちだったなんてことよくあるんですよね(笑)。つながりがあるから話のタネが沢山あるというか。そんな程よい距離感や、乾杯したらみんな友だちみたいな雰囲気が、福岡らしさなんじゃないかと思います。
実際映画部もイベントが終わったら参加者の方たちと飲みに行くんですけど、会ったばかりなのにみんなで終わらない映画話をしてるという…。私自身が飲むのが好きだからかもしれませんが(笑)。

映画から影響を受けたライフスタイル

ブリリア ショートショートシアター オンラインは、ライフスタイルを発信しているメディアです。
石渡さんは、普段のライフスタイルで大切にしていることはありますか?

石渡
映画部の活動をすればするほど、映画を観れば観るほど、自分が知らなかったことに比例して興味の幅が広がるんです。例えば映画をきっかけに、文学や演劇、落語に建築とか。
そうやって増えていく興味に、自分自身がアンテナを張っていくことは常に意識して大切にしていますね。

オンラインシアターの配信作品を観た感想を教えてください。

石渡
いくつか好きな映画のジャンルを自分で名付けているものがあるんですけど、私の観た『テニスのお父さん』は、まさしく「頑固なじいさんもの」と勝手に名付けて偏愛するジャンルに当てはまるかなと。
負けは認めないけど家族のことを応援する感じが私の祖父に似ていて、その頑固な背中に哀愁を感じてしまいました。
ショートフィルムは、観る前の想像を超えて、いい意味で期待を裏切ってくれる所が好きですね。

石渡さんが紹介した『テニスのお父さん』の視聴はコチラ

福岡映画部流、映画イベントの作り方

映画部の今後の活動を教えてください。

石渡
引き続き上映イベントやトークイベントをやります。それともう一つ、いまチャレンジしたいなと考えていることがあるんですが、具体的なことが決まり次第Facebookなどでお知らせする予定です。
福岡映画部は福岡の映画文化、ひいては映画にまつわる福岡のあらゆる文化の醸成に少しでも貢献できればという想いで、これからも様々な活動を展開していきたいと考えています。

最後に、福岡映画部の様に自分たちでも映画イベントを実施したいと考えている人たちに向けてメッセージをお願いします。

石渡
みなさんそれぞれ映画が好きな理由があると思いますから、それぞれがやりたい表現方法で、できることからやってみるのが良いのかな、と思います。ありきたりですかね(笑)
でも、私も福岡映画部をやる前はインスタグラムに映画レビューをアップする所から始めて、そこから人と繋がれた感覚が凄く嬉しかったし、そうやって手探りでも一個ずつ小さい確信を持っていければ、いつか同じ想いの人たちとつながって、どんどんイベントを作って、コミュニティを拡げていけるのではないかと思っています。

ありがとうございました。

石渡麻美

「福岡映画部」代表。
1989年福岡県北九州市生まれ。人生の谷で出会った『桐島、部活やめるってよ』をきっかけに映画から離れられなくなり、2017年末に福岡映画部を立ち上げる。「映画に学び、映画でつながる」をコンセプトに、鑑賞後の語りの場をセットとした簡易映画館や、映画に関わる面白いゲストを呼んでのトークイベント等、映画好き予備軍をじんわり巻き込んでいく活動を展開している。

Writer:青目 健

ショートショート実行委員会 プロジェクト・マネージャー
構成:青目 健

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