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COLUMN
Jun. 10, 2021

【Cinematic Topics】1.7万人の声から見える「映画と私」の関係(前編)

コロナ禍を受けて映画館の苦境が取り立たされています。また、ネットフリックスやアマゾンプライムなどの動画配信サービスの動向は大きく報じられています。実際に日本で暮らす私たちと映画の関係にはどんな変化が生じているのでしょうか?
国際短編映画祭 SSFF & ASIA は SSFF & ASIA 2021の開催と合わせ株式会社Insight Techと共同プロジェクト「CINEMA VOICE」を立ち上げ、一般の生活者を対象とした大規模調査を実施しました。ここでは2021年4月28日~5月12日に行われた調査の結果を、Insight Tech CEO 伊藤 友博さんにご紹介をいただきます。前編は、コロナ後の映画の視聴動態について分析します。

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Insight Tech CEO 伊藤です。Insight Techは、WEB上のプラットフォーム「不満買取センター」に集められた生活者の「声」を、独自に開発した「AI(人工知能)」により価値化しイノベーションを興す。そんなことを生業にしている会社です。独自のデータ×独自のAIで「声が届く世の中を創る」ことを目指しています。

不満のデータに限らず、各企業が保有するVoC(Voice of Customer)からビジネスを強くするお手伝いもさせていただいています。いわば、【VoC経営】を実現することで【声が届く世の中を創る】ために走り続けているチームです。
今日は、別所哲也さん率いるSSFF & ASIAのみなさんとご一緒しているプロジェクト「Cinema Voice」に寄せられた生活者の声から【生活者にとって映画とは?】を紐解いていきたいと思います。

1.7万人の声が集まりました

Cinema Voiceプロジェクトは「生活者の声から新しい映画の価値を探る」ことを目的にしています。そこで、私たちが運営する「不満買取センター」の59万人を対象とした大規模な調査を実施しました。

■第1回調査 「あなたにとって映画とは?」(2021年4月28日~5月12日)

第1回調査は「あなたにとって映画とは?」をテーマに、Insight Techが運営する特許取得済みのプラットフォーム「不満買取センター」内で、あなたと映画との関係性、理想的な映画祭や映画鑑賞方法に対するアイデアについて声を集めました。

結果、17,022名から生の声を集めることが出来ました。

私たちが実施しているほかの調査と比べて大変早く・多くの声が集まり、映画への関心の高さを改めて思い知らされる結果です。
では、1.7万人が考える「映画と私」を紐解いていきましょう。

この1年、映画は生活者に寄り添う「身近な存在」に

まず、直近1年(調査実施4月末)での映画鑑賞の頻度を聞きました。映画鑑賞の頻度が「減った」とする人が22%であったのに対して、「増えた」とする人が35%。つまり、映画鑑賞の頻度が「増えた」とした人のほうが多いことが分かりました。コロナ禍によるSTAY HOMEの影響もあり、映画を見る頻度はここ1年で増加している人が多いことが分かります。

媒体・方法別にみると、外出自粛が求められたり、映画館の営業自粛が求められたこともあり、55%の人が映画館での映画鑑賞が減ったとする一方で、62%の人が動画配信サービスでの映画鑑賞の頻度が高まったとしています。この一年、映画が今まで以上に私たちの生活に寄り添う「身近な存在」となったことがうかがえます。

映画鑑賞の頻度変化について、性・年代別に見たものが下図です。どの世代でも「増えた」とする割合が「減った」とする割合を上回っており、どの世代でも今まで以上に「身近な存在」になったことが分かります。特に、10代や20代において増えたとする割合が顕著に高くなっており、デジタルデバイス×動画配信サービスによる映画鑑賞が一気に進展した1年であったことがうかがえます。

映画は生活者の人生の伴走者であり羅針盤

続いて、「あなたの映画に関する思い出や映画から受けた影響など、エピソードはありますか?」と問いかけをしました。

自由記述形式(文章の形式でのテキスト)で沢山の声が寄せられました。この結果を私たちが開発した文章解析AI「アイタス」を用いて解析し、主たる意見のかたまり(クラスタと呼びます)を抽出しました。

意外なことに、作品自体に関する思い出や感想だけなく、それによって自分自身が影響を受けたことを振り返る声や、それによって人生が変わるきっけかけになったことを振り返る声が多く集まりました。

例えば、「私にとって映画は心のサプリメントのような存在」「仕事のミスや嫌なことがあって落ち込んだ気持ちを和らげてくれた」といったように、気持ちのスイッチを切り替えポジティブな力をもたらしてくれたエピソードを語る声。

そして、「私を励まし、特に価値観や人生観を深掘りさせる」や「考えを変えてみようかなって思えるようなセリフがあると、ちょっと頑張ってみようかなって思えた」など暮らし方や人生観・価値観が変わり視野が広がるきっかけになったというエピソードを語る声。

こんな声をみると、映画を見るという行為は、余暇活動を超えた意味を持っていて、生活者一人ひとりの「人生の伴走者」であり「羅針盤」になっていることがよく分かります。

映画は日常の中の「非日常」であり「心の支え」

続いて「貴方にとって映画とは?」。これも自由記述形式で沢山の声が集まりました。文章解析AI「アイタス」を用いて解析し、「意見の対象となっている部分(●●が△△、●●に□□の●●に当たる部分)」をカウントしました。

その出現回数に応じて文字の大きさを表現した”ワードクラウド”で傾向を見てみましょう。「余暇」や「趣味」、「エンターテイメント」という言葉は出てきません。目立つのは「自分」と「人生」。単なる気分転換としてだけでなく、人生に良い影響を与えてくれる存在として大切に想っていることが明らかになりました。

低関心層(年間映画を5本以下しか見ない層)やライト&ミドル層(年間40本未満)では「非日常」「違う世界」といったキーワードが、目立ちます。日常生活とは異なる非日常を疑似体験でき、違う世界を味わえる「経験」として認識されています。

これに対してヘビー層(年間40本以上)では、「生活」「心」といったキーワードが浮かび上がってきます。もはや日常生活の心の支えになっている様子がうかがえますね。「色んな世界」「彩」といったキーワードも見られ、日常生活を彩ってくれる大切な存在になっている様子が想像できます。

先の「映画にまつわるエピソード」で見たときと同様に、映画は余暇活動の選択肢としてだけでなく、日常生活に素敵な彩を与える存在になっているようです。

こんな時だからこそ、映画の役割はますます大切なものになっていて、これが結果として、映画鑑賞の頻度UPにつながっているのかもしれませんね。

 

後半へ続きます

 

株式会社 Insight Tech

生活者の不満とその背景にある価値観変化を「スピーディ」かつ「客観的」に見つけ出し、 社会の「不」を解消するエキスパート。56万人の会員からなる「不満買取センター」を運営し 、2,100万件超の不満データから自然言語処理とマーケティングの知見で新たな価値を読み解く インサイトドリブンによって、あらゆる領域の企業様と価値共創を推進しています。

・設立:2012 年 6 月
・代表取締役社長:伊藤 友博

Writer:伊藤友博

株式会社 Insight Tech 代表取締役社長
早稲田大学大学院理工学研究科建設工学修了。1999年、株式会社三菱総合研究所に入社。ビッ グデータマーケティング領域のコンサルタントとしてナショナルクライアントのマーケティング 高度化を伴走。その後、同社にてAIを活用した新規サービスを事業化。2017年、代表取締役社 長として株式会社不満買取センター(当時)に参画。「声が届く世の中を創る」ことを目指し、 データ×AIドリブンによるイノベーション創出、そして社会変革を日々夢見る

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